[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2009年(平成21年)東京大学前期-数学(理科)[5]

2021.02.07記
この型をみたら,対数をとろうと思うのが普通.
0.9999=0.99\times 1.01 が見抜けたら勝ち.

[解答]

(1) 0\lt 1-x\lt 1+x より両辺の対数をとると \Bigl(1-\dfrac{1}{x}\Bigr)\log (1-x) \lt \dfrac{1}{x}\log (1+x),つまり
\dfrac{1}{x}\log (1+x)-\Bigl(1-\dfrac{1}{x}\Bigr)\log (1-x) \gt 0 を示せば良く,f(x)=\log (1+x)-(x-1)\log(1-x) とおくと,\dfrac{f(x)}{x}\gt 0 を示せば良い.

平均値の定理により,\dfrac{f(x)}{x}=f'(c) なる c(0\lt c\lt x)が存在するので,結局,f'(x)>0(-1\lt x\lt 1,x\neq 0) を示せば良い.
f'(x)=-\log(1-x)-\dfrac{x}{1+x}
であり,一般に \log u\leqq u-1 であるから \log (1-x)\lt -x(-1\lt x\lt 1,x\neq 0) となるので,
f'(x)\gt x-\dfrac{x}{1+x}=\dfrac{x^2}{1+x}\gt 0
が成立し,題意は示された.

(2) x=\pm 0.01 を代入すると
0.99^{-99}\lt 1.01^{100}1.01^{101}\lt 0.99^{-100}
が得られるので,最初の不等式の両辺に 0.99^{100},次の不等式の両辺に 0.99^{101} を乗ずると,0.99\times 1.01=0.9999 により 0.99\lt 0.9999^{100}0.9999^{101}\lt 0.99 が得られる.

普通は、f'(x) が単調増加であることを示すのに2階微分を用いるが,\log (1-x)\leqq -x という接線での評価が微分の役目を果たしている.