[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2006年(平成18年)東京大学前期-数学(文科)[1]

2024.02.19記

[1] 四角形 \mbox{ABCD} が,半径 \dfrac{65}{8} の円に内接している.この四角形の周の長さが 44 で,辺 \mbox{BC} と辺 \mbox{CD} の長さがいずれも 13 であるとき,残りの 2\mbox{AB}\mbox{DA} の長さを求めよ.

本問のテーマ
ブラマグプタの公式(2021.02.02)

2021.02.02記

[解答]
\triangle\rm BCD において,正弦定理から \sin B=\dfrac{4}{5} だから \cos C=\cos (\pi-2B)=2\sin^2B-1=\dfrac{7}{25}
となるので,余弦定理から {\rm BD}^2=\dfrac{78}{5}

{\rm AB}=x{\rm AD}=y とおくと x+y=44-26=18 で,余弦定理から
\dfrac{78^2}{5^2}=x^2+y^2+\dfrac{14}{25}xy から xy=56

よって,x,yt^2-16t+56=0 の解だから \{x,y\}=\{4,14\} となり
\{{\rm AB},{\rm AD}\}=\{4,14\}
となる.

ブラマグプタの公式を使ってみる.

[別解]
{\rm AB}=x{\rm AD}=y とおき,四角形の面積を S とおくと
ブラマグプタの公式から
S=\sqrt{(22-x)(22-y)(22-13)(22-13)}
となる.一方,
S=\dfrac{1}{2}(xy+169)\sin B
となり,\sin B=\dfrac{\sqrt{25^2-7^2}}{25} であるから,
\dfrac{1}{2}(xy+169)\cdot \dfrac{\sqrt{25^2-7^2}}{25}=\sqrt{(22-x)(22-y)(22-13)(22-13)}
が成立する.x+y=44-26=18 に注意してこれを整理すると
16(xy)^2-217(xy)-38024=(xy-56)(16xy+679)=0
が成立するので,xy=56 となる.

よって x,yt^2-16t+56=0 の解となり,\{{\rm AB},{\rm AD}\}=\{x,y\}=\{4,14\} となる.

今回の数値の場合,ブラマグプタの公式は実践的ではない.