[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1937年(昭和12年)東京帝國大學工學部-數學[1]

2022.08.11記

(二時間半)

[1] e^{-0.5}ガ小数點以下第三桁迄(第四桁ヲ四捨五入シテ)0.607ナルコトヲ知リ,ソノ値ヲ小数點以下第五桁迄求メヨ.但シe=2.71828\cdotsトス.

本問のテーマ
Newton 法
2022.08.23記
手計算で頑張る.

[解答]
e^{-0.5}=0.607+\varepsilon-0.0005\leqq \varepsilon\lt 0.0005
とおくことができるので,
e^{-1}=0.368449+1.214\varepsilon+\varepsilon^2
となり,有効数字6桁で考えて,\varepsilon^2 を無視すると
1=e\cdot e^{-1}\approx 1.00155+3.29999\varepsilon
となるので,
\varepsilon\approx -0.0004697
となり
e^{-0.5}\approx 0.6065303
から求める答えは 0060653 となる.

■ 誤差のみたす2次方程式を1次方程式に近似しているので,これはニュートン法である.
つまり,
0=f(\alpha+\varepsilon)\approx f(\alpha)+f'(\alpha)\varepsilon
の近似から \varepsilon の1次方程式を解いて \varepsilon=-\dfrac{f(\alpha)}{f'(\alpha)} を求めて新しい近似値
\alpha-\dfrac{f(\alpha)}{f'(\alpha)} を求めている.ここでは e^{-0.5}
f(x)=ex^2-1=0
の解として捉えてニュートン法を用いていることに相当する.実際
\alpha\mapsto \alpha-\dfrac{e\alpha^2-1}{2e\alpha}=0.0607-\dfrac{2.71828\cdot 0.0607^2 -1}{2\cdot 2.71828\cdot 0.607}
という計算をしている.