2022.05.29記
[3] 楕圓ノ長徑,短徑,離心率,周ノ全長ヲ夫々 トスレバ, ガ小ナルトキ次ノ近似式ノ成立スルコトヲ證明セヨ.
本問のテーマ
参考:Gauss-Kummer の公式
2022.05.30記
[解答]
とする. とおくと であり,
である.テイラーの定理により
が成立し, において右辺の級数は収束するので項別積分できる.
とする. とおくと であり,
である.テイラーの定理により
が成立し, において右辺の級数は収束するので項別積分できる.
よって
である.
一方,
について,
であるから,
となるので,
と は で一致し,よって が小さいときは題意の近似式が成立する.
楕円の全周を級数によって求める式は色々提案されており,詳細は
T.R.Chandrupatla and .J.Osler, The perimeter of an ellipse (pdf)
を参照のこと.
楕円の全周を求める級数を求める方法として,[解答]で用いた のマクローリン展開を利用して項別積分する方法は収束が遅いことで知られており,その収束を速くしたものとして,Gauss-Kummer の公式
(但し )
が知られている(他の級数については先程挙げた pdf 参照).
Gauss-Kummer の公式を利用して本問を眺めると,離心率が小さいとき,つまり のとき
を示す問題になる.ここで扁平率 を用いると
,
であるから, が小さいときに
(で割っている)を示す問題となる.
左辺は であり,
右辺は
となるので, となる部分では一致しているが, の項は一致していない.これは近似式が で一致しているものの,これは から の項が登場するためである.