[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1954年(昭和29年)東京大学-数学(幾何)[3]

[3] 空間において,3定点 \rm A\rm B\rm C からの距離の2乗の和が一定であるような点の軌跡を求めよ.

2020.09.24記
有名問題で,3点の重心を中心とする球面となるが,距離の2乗の和が一定以上小さくなると,1点や虚円(空集合)となる.

3点が三角形をなさない場合もあるので、迂闊に三角形ABCの重心を中心とする…と書いてはいけない、と指摘していた参考書もあったが、おそらく東大は気にしないと思う。念のため、3点の重心と答えておけば問題ないのだが。

当時はベクトルが範囲外だったので,中線定理を用いて変形することになるが,現在はベクトルが簡明である.

ベクトルで{\rm A}(\vec{a}) などと書くと,軌跡上の点\rm P は、一定値をk とおくと
 {\rm PA}^2+{\rm PA}^2+{\rm PA}^2=3|\vec{p}|^2-2(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c})\cdot \vec{p}+|\vec{a}|^2+|\vec{b}|^2+|\vec{c}|^2=k
となる.よって\vec{g}=\dfrac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}とおき,これを位置ベクトルとする点を\rm G とおくと
{\rm PG}^2=|\vec{p}-\vec{g}|^2=\dfrac{k-|\vec{a}|^2-|\vec{b}|^2-|\vec{c}|^2+3|\vec{g}|^2}{3}
で一定となる.ここで位置ベクトルの始点を\rm Gにとると\vec{a}=\vec{\rm GA}などにより
{\rm PG}^2=\dfrac{k-{\rm GA}^2-{\rm GB}^2-{\rm GC}^2}{3}
となるので

(i) 一定値が {\rm GA}^2+{\rm GB}^2+{\rm GC}^2 より大きいとき,\rm G 中心の球面,
(ii) 一定値が {\rm GA}^2+{\rm GB}^2+{\rm GC}^2 に等しいとき,一点\rm G
(iii) 一定値が {\rm GA}^2+{\rm GB}^2+{\rm GC}^2 より小さいとき,空集合