[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1955年(昭和30年)東京大学-数学(一般数学)[1]

2022.01.17記

[1] ある人が  A 円を預金しその後一年目ごとに  \dfrac{A}{10} 円ずつ引き出すとする.利息は年
 8% の利率で,一年ごとの複利で計算するとすれば,何回引き出したときにはじめて残りが  \dfrac{A}{10} 円未満となるか.ただし  \log_{10} 2=0.3010 \log_{10} 3=0.4771 とする.

2022.01.17記

当時は,数表の線型補間があったので,それを用いることになる.

[解答] n 年後の残金を a_n とすると
a_{n+1}=1.08a_n-\dfrac{A}{10}
であるから,
a_n=\dfrac{A(5-1.08^n)}{4}
となるので,
\dfrac{A(5-1.08^n)}{4}\lt\dfrac{A}{10}
つまり
4.6\lt 1.08^n
と解けば良い.
\log 4.5=2\log 3-\log 2=0.6532
\log 4.8=4\log 2+\log 3-1=0.6811
だから,線型補間により
\log 4.6=\dfrac{2\log 4.5+\log4.8}{3}=0.6625
となる.また,\log 1.08=3\log 3+2\log 2 -2=0.0333
であるから,
4.6\lt 1.08^n \Longleftrightarrow n\gt\dfrac{0.6625}{0.0333}=19.89\cdots
となり,求める答えは20年後となる.

\log_{10} 4.6=0.662757\cdots
1.08^{19}=4.315\cdots
1.08^{20}=4.660\cdots
となる。