[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)東京大学-数学(文科)[3]

2022.02.26記

[3] 数列 \{a_n\} を次のように定める。
a_1=4a_{n+1}=a_n^2+n(n+2)n=1,2,3,\cdots\cdots

(1) a_{2022}3 で割った余りを求めよ。

(2) a_{2022}a_{2023}a_{2024} の最大公約数を求めよ。

2022.02.26記

[解答]
\mbox{mod} \,3 で考える。

n=3m のとき,a_{3m+1}\equiv a_{3m}^2
n=3m+1 のとき,a_{3m+2}\equiv a_{3m+1}^2
n=3m+2 のとき,a_{3m+3}\equiv a_{3m+1}^2+2

と漸化式の周期が3となることに注意して3項ずつ組にして考えると
a_1\equiv 1,a_2\equiv 1, a_3\equiv 0,
a_4\equiv 0,a_5\equiv 0, a_6\equiv 2,
a_7\equiv 1,a_8\equiv 1, a_3\equiv 0
のように周期が2組、つまり6項であることがわかる。

よって,a_{2022}\equiv a_6\equiv 2,つまり3で割った余りは 2 である。

(2) ユークリッドの互除法により,
a_{2022}a_{2023} の最大公約数は a_{2022} 2022\times 2024 の最大公約数に等しく,
a_{2023}a_{2024} の最大公約数は a_{2023} 2023\times 2025 の最大公約数に等しい。

よってまず, 2022\times 2024 2023\times 2025 の最大公約数を求めれば良い。N=2022 とおくと
(N+1)(N+3)-N(N+2)=2N+3
であるから,それは N(N+2)2N+3 の最大公約数に等しい。

ここで N が偶数に注意すると,\dfrac{N}{2} は整数であり,
\dfrac{N}{2}(2N+3)-\dfrac{N}{2}(2N+2)=\dfrac{N}{2}
であるから,それは 2N+3\dfrac{N}{2} の最大公約数に等しく,それは 3\dfrac{N}{2}=1011 の最大公約数である 3 である。

つまり, 2022\times 2024 2023\times 2025 の最大公約数は3である。

ここで,a_{2022}\equiv a_{6}\equiv 2(\mbox{mod}\,3) であるから,a_{2022}3 を素因数にもたないので,求める最大公約数は 1 である。

ユークリッドの互除法を丁寧に使ってみたが,連続する自然数は互いに素なので NN+1 は互いに素で,N+2N+3 も互いに素である。よって
\mbox{gcd}(N(N+2),(N+1)(N+3)
=\mbox{gcd}(N,N+3)\times \mbox{gcd}(N+2,N+1)
となり,N+2N+1 も互いに素だから,この値は
=\mbox{gcd}(N,N+3)=\mbox{gcd}(N,3)
に等しいことが任意の自然数 N について成立することがわかる。

つまり,a_N,a_{N+1},a_{N+2} の最大公約数は \mbox{gcd}(N,3) となり,N\equiv 3,4,5\mbox{mod}\, 6)のときは最大公約数が3となり,それ以外の場合は1となることがわかる。