[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1956年(昭和31年)東京大学-数学(解析I)[3]

2022.02.10記

[3] 放物線 y^2 =4p(x−\alpha) と円 x^2+y^2 =1 との共有点の個数は \alpha の変化に応じてどのように変わるか.ただし 0\lt p \lt\dfrac{1}{2} とする.

2022.02.10記
文系の範囲で解くこともできるが,その場合,x と交点の個数が1対1に対応しないのでちょっと面倒。
単位円なので素直にパラメータ表示すると解と交点の個数が1対1に対応する。\alpha が1箇所単独で登場しているので、定数分離をするのが吉。


[解答]
円上の点を x=\cos\thetay=\sin\theta0\leqq \theta\lt 2\pi) とおくと
\sin^2\theta=4p(\cos\theta-\alpha)
つまり
\alpha=\cos\theta-\dfrac{\sin^2\theta}{4p}=:f(\theta)
をみたす \theta の個数を考えれば良い.
f'(\theta)=-\sin\theta-\dfrac{\sin\theta\cos\theta}{2p}=\dfrac{-\sin\theta (2p+\cos\theta)}{2p}
であり,0\lt p\lt\dfrac{1}{2} であるから,\cos\theta=-2p なる \theta が 第2象限と第3象限に1つずつ存在する。それを\phi,2\pi-\phi\dfrac{\pi}{2}\lt\phi\lt\pi)とおくと,増減表は

\theta 0 \cdots \phi \cdots \pi \cdots 2\pi-\phi \cdots (2\pi)
f' 0 - 0 + 0 - 0 + (0)
f' 1 \searrow -p-\dfrac{1}{4p} \nearrow -1 \searrow -p-\dfrac{1}{4p} \nearrow (1)

となるので,

\alpha\lt -p-\dfrac{1}{4p} のとき 0
\alpha=-p-\dfrac{1}{4p} のとき 2
-p-\dfrac{1}{4p}\lt \alpha\lt -1 のとき 4
\alpha= -1 のとき 3
-1\lt \alpha\lt 1 のとき 2
\alpha= 1 のとき 1
-\lt \alpha のとき 0

となる.

文系の範囲で解いておこう.本問はうまく定数分離ができる。

[解答]
y^2 =4p(x−\alpha) と円 x^2+y^2 =1 との共有点の x 座標は
x^2+4px-4p\alpha-1=0
をみたす.

ここで x=\pm 1 に対しては共有点が1つ,-1\lt x\lt 1 に対しては共有点が2つ対応していることに注意する.

x^2+4px-4p\alpha-1=0 の解を z=f(x)=\dfrac{1}{4p}(x^2+4px-1)=\dfrac{1}{4p}(x+2p)^2-p-\dfrac{1}{4p}z=\alpha(定数関数)の交点として考える。

いま z=\dfrac{1}{4p}(x^2+4px-1) の軸 x=-2p-1\lt x\lt 0 をみたすので,f(x) の頂点は -1\lt x\lt 1 の範囲にあるので,z=f(x) の増減表は

x -1 \cdots -2p \cdots 1
f(x) -1 \searrow -p-\dfrac{1}{4p} \nearrow 1

となるので,

\alpha\lt -p-\dfrac{1}{4p} のとき 0
\alpha=-p-\dfrac{1}{4p} のとき 2
-p-\dfrac{1}{4p}\lt \alpha\lt -1 のとき 4
\alpha= -1 のとき 3
-1\lt \alpha\lt 1 のとき 2
\alpha= 1 のとき 1
-\lt \alpha のとき 0

となる.