[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1958年(昭和33年)東京大学-数学(一般数学)[1]

2020.10.25記

[1] 連立方程式 0.5x+1.2y=4.10.3x+1.8y=4.4 がある.左辺の係数および右辺の数値が,いずれも小数第二位を四捨五入した近似値であるとすれば,x の真の値はどのような範囲にあるか.


2022.02.18記

[解答]
連立方程式 ax+by=ecx+dy=f の解は
(x,y)=\left(\dfrac{de-bf}{ad-bc},\dfrac{af-ce}{ad-bc}\right)
である.

今、0.45\times 1.75 - 0.35\times 1.25=0.35\lt ad-bc4.05\times 1.75 - 4.45\times 1.25=1.525 \lt de-bf
0.45\times 4.35 - 0.35\times 4.15= 0.505 \lt af-ce
であるから,x,y\gt 0 である.
x=\dfrac{de-bf}{ad-bc}
a,c,e,f が1つしか登場していないことに注意すると

a が大きいほど x は小さくなる
c が小さいほど x は小さくなる
e が小さいほど x は小さくなる
f が大きいほど x は小さくなる

ことがわかる.また
x=\dfrac{e}{a}-\dfrac{by}{a}=\dfrac{e}{a}-\dfrac{b(af-ce)}{a(ad-bc)}
d が1つしか登場していないことに注意すると

d が小さいほど x は小さくなる

ことがわかる.また
x=\dfrac{f}{c}-\dfrac{dy}{c}=\dfrac{f}{c}-\dfrac{d(af-ce)}{c(ad-bc)}
b が1つしか登場していないことに注意すると

b が大きいほど x は小さくなる

ことがわかる.

以上から,

x が最小となるときは a=0.55,b=1.25,c=0.25,d=1.75,e=4.05,f=4.45 であり,
x が最大となるときは a=0.54,b=1.15,c=0.35,d=1.85,e=4.15,f=4.35 である.

以上を代入して整理すると
\dfrac{61}{26}\lt x\lt\dfrac{535}{86}
となり,小数第二位を四捨五入すると
2.3\lt x\lt 6.2
となる.