[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1963年(昭和38年)東京大学-数学(理科)[1]

2022.02.19記

[1] 直方体の一つの頂点 \rm O から出る三つの辺を \rm OA\rm OB\rm OC とし,\rm O から最も遠い頂点を \rm D とする.{\rm BC}=a{\rm CA}=b{\rm AB}=c とするとき,\rm OD の長さをabc で表わせ.また,a=5b=3 のとき,c のとりうる値の範囲を求めよ.

2022.02.19記

[大人の解答]
三角形が等面四面体を作る必要十分条件は,その三角形が鋭角3角形であることなので、a^2\lt b^2+c^2b^2\lt c^2+a^2c^2\lt a^2+b^2,つまり |a^2-b^2|\lt c^2 \lt a^2+b^2 から 4\lt c\lt \sqrt{34} である.

三角形の成立条件が,辺の差と辺の和に残りの辺が挟まれる不等式なのだが、鋭角三角形となる条件が,辺の二乗差と辺の二乗和に残りの辺の二乗が挟まれる不等式なのは面白い。

[解答]
{\rm O}(0,0,0){\rm A}(p,0,0){\rm B}(0,q,0){\rm C}(0,0,r) とおくと,
{\rm BC}^2=a^2=q^2+r^2{\rm CA}^2=b^2=r^2+p^2{\rm AB}^2=c^2=p^2+q^2
であり,{\rm D}(p,q,r) から
{\rm OD}^2=p^2+q^2+r^2=\dfrac{a^2+b^2+c^2}{2}
となるので,
{\rm OD}=\sqrt{\dfrac{a^2+b^2+c^2}{2}}
である.

また,\triangle\rm ABC に対してこのような直方体が存在する必要十分条件 p^2,q^2,r^2\gt 0 であるから,
p^2=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2}=\dfrac{c^2-16}{2}\gt 0
q^2=\dfrac{c^2+a^2-b^2}{2}=\dfrac{c^2+16}{2}\gt 0
r^2=\dfrac{a^2+b^2-c^2}{2}=\dfrac{34-c^2}{2}\gt 0
となり,これを解いて 16\gt c^2 \gt 34,つまり 4\lt c\lt \sqrt{34} である.