[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2016年(平成28年)東京大学-数学(文科)[1]

2020.09.26記
普通に
\vec{\rm PQ}\cdot\vec{\rm PR}\gt 0
\vec{\rm QR}\cdot\vec{\rm QP}\gt 0
\vec{\rm RP}\cdot\vec{\rm RQ}\gt 0
を計算して図示すれば良いが,
1998年(平成10年)東京大学前期-数学(文科)[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
と同じように考えると,

[解答]

XY平面で {\rm A}(X,Y) とするとき,三角形 \rm APQ が鋭角三角形となる必要十分条件は,\rm PQ を直径とする円の外のうち,\rm P を通り \rm PQ に垂直な直線と \rm Q を通り \rm PQ に垂直な直線で挟まれた部分に \rm A があることである.

よって,X^2+Y^2\gt x^2+y^2 かつ |xX+yY|\lt x^2+y^2
となる.\rm A=R とすることにより,求める必要十分条件
1\gt x^2+y^2 かつ |x| \lt x^2+y^2
となる.整理して
 x^2+y^2\lt 1 かつ  \Bigl(x+\dfrac{1}{2}\Bigr) +y^2\gt \dfrac{1}{4} かつ  \Bigl(x-\dfrac{1}{2}\Bigr) +y^2\gt \dfrac{1}{4}
となる.

(図示略)

同年の理科の
2016年(平成28年)東京大学-数学(理科)[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
のように複素平面で考えて
複素平面上の3点のなす三角形が鋭角三角形となる条件 - 球面倶楽部 零八式 mark II
を使うと見通しが良い.

このとき,2点が実軸上の点となるように平行移動,回転拡大をしておくと条件が簡単になる.

[別解]

z=x+iy とおくと {\rm P}(-z),,{\rm Q}(1),{\rm R}(z) の3点が鋭角三角形をなすという条件になる.

z=0 は不適なので z\neq 0 とすると

{\rm A}(-1),{\rm B}\Bigl(\dfrac{1}{z}\Bigr),{\rm C}(1) が鋭角3角形をなす条件となり,
\angle\rm A が鋭角となる条件は -1\lt \mbox{Re}\Bigl(\dfrac{1}{z}\Bigr)
\angle\rm C が鋭角となる条件は \mbox{Re}\Bigl(\dfrac{1}{z}\Bigr)\lt 1
\angle\rm B が鋭角となる条件は \Bigl|\dfrac{1}{z}-0\Bigr|\gt 1
であるから,求める条件は
-1\lt \mbox{Re}\Bigl(\dfrac{1}{z}\Bigr)\lt 1 かつ  \Bigl|\dfrac{1}{z}\Bigr|\gt 1
であり,整理すると
-|z|^2\lt \mbox{Re}(\bar{z})\lt |z|^2 かつ  |z|\lt 1
となる.

よって求める必要十分条件
-(x^2+y^2)\lt x\lt x^2+y^2 かつ x^2+y^2\lt 1
となる.

(図示略)

2016年(平成28年)東京大学-数学(理科)[4] との関係についても参照のこと.