[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1974年(昭和49年)東京大学-数学(理科)[6]

2023.08.11記

[6] あるスポーツにおいて,\mbox{A}\mbox{B} 二チームが試合をして,さきに三回勝った方を優勝とする.一回の試合で \mbox{A} が勝つ確率を p\mbox{B} が勝つ確率を qp+q=1p\gt 0q\gt 0)とする.このとき,\mbox{A} が優勝する確率を P\mbox{B} が優勝する確率を Q とし,また,優勝チームがきまるまでの試合数を N として,次の問に答えよ.

(1) p\gt q のとき,P-Qp-q とはどちらが大きいか.

(2) P-p を最大にする p の値を求めよ.

(3) N の期待値を最大にする p の値およびそのときの N の期待値を求めよ.

2023.08.11記

[解答]
P=p^3+{}_3\mbox{C}_1 p^3q+{}_4\mbox{C}_2 p^3q^2=p^3+3p^3q+6p^3q^2
Q=q^3+3pq^3+6p^2q^3
である.

(1) P-Q=(p-q)\{p^2+pq+q^2+3pq(p+q)+6p^2q^2\}
である.ここで p+q=1 より
=p^2+pq+q^2+3pq(p+q)+6p^2q^2=1+2pq+6p^2q^2\geqq 1
であり,p-q\gt 0 より P-Q\gt p-q となる.

(2) P-p=p^3+3p^3q+6p^3q^2-p
=p^3+3p^3(1-p)+6p^3(1-p)^2-p
=6p^5-15p^4+10p^3-p=:f(p)
である.よって
f'(p)=30p^4-60p^3+30p^2-1=30p^2(p-1)^2-1
となり,0\lt p\lt 1 より p(1-p)\lt 0 だから
f'(p)=0 なる p
\sqrt{30}p(p-1)=-1
つまり \sqrt{30}p^2-\sqrt{30}p+1=0 をみたす.この解の前後で f'(p) の符号を正から負に変える値は
p=\dfrac{\sqrt{30}+\sqrt{30-4\sqrt{30}}}{2\sqrt{30}}
である.

(3) Nの期待値は
3(p^3+q^3)+4(3p^3q+3pq^3)+5(6p^3q^2+6p^2q^3)
=3(1-3pq)+12(pq-2p^2q^2)+30p^2q^2
=6p^2q^2+3pq+3
であり,0\lt pq\leqq\dfrac{1}{4}(右の等号はp=q=\dfrac{1}{2})であるから,Nの期待値は p=\dfrac{1}{2} のとき最大値 \dfrac{33}{8}=4.125) をとる.