[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1986年(昭和61年)東京大学-数学(理科)

2023.08.29記

[1] xy 平面において,座標 (x,y) が不等式 x\geqq 0y\geqq 0xy\leqq 1 をみたすような点 \mbox{P}(x,y) の作る集合を \textsf{D} とする.三点\mbox{A}(a,0)\mbox{B}(0,b)\mbox{C}\left(c,\dfrac{1}{c}\right) を頂点とし,\textsf{D} に含まれる三角形 \mbox{ABC} はどのような場合に面積が最大となるか.また面積の最大値を求めよ.ただし a\geqq 0b\geqq 0c\gt 0 とする.

[2] 長軸,短軸の長さがそれぞれ 42 である楕(だ)円に囲まれた領域を \mbox{A} とし,この楕円の短軸の方向に,\mbox{A}\dfrac{1}{2}(\sqrt6-\sqrt2) だけ平行移動してできる領域を \mbox{B} とする.このとき \mbox{A}\mbox{B} の共通部分 \mbox{C}=\mbox{A} \cap \mbox{B} の面積 M を求めよ.ただし \dfrac{1}{4}(\sqrt6+\sqrt2)=\cos\dfrac{\pi}{12} である.

注:方程式 \dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1a\gt 0b\gt 0
で表される楕円において,2a2b の内大きい方を長軸の長さといい,他方を短軸の長さという.

[3] (1) xyz 空間において,三点 \mbox{A}\left(0,0,\dfrac{1}{2}\right)\mbox{B}\left(0,\dfrac{1}{2},1\right)\mbox{C}(1,0,1) を通る平面 \mbox{S}_0 に垂直で,長さ 1 のベクトル \overrightarrow{n_0} をすべて求めよ.

(2) 二点 \mbox{D}(1,0,0)\mbox{E}(0,1,0) を通る直線 l を軸として,平面 \mbox{S}_0 を回転して得られるすべての平面 \mbox{S} を考える.このような平面 \mbox{S} に垂直で長さ1のベクトル\overrightarrow{n}=(x,y,z)y 成分の絶対値|y|\mbox{S} と共に変化するが,その最大値および最小値を求めよ.

[4] 二次方程式 ax^2-2bx+c=0 の係数 abc が,それぞれ次の範囲を動くものとする.
 0.9 \leqq a \leqq 1.1, \quad 
2.7 \leqq b \leqq 3.3, \quad 
4.5 \leqq c \leqq 5.4

(1) このとき u=\dfrac{b}{a}v=\dfrac{c}{a} を座標とする点 \mbox{P}(u,v) の動く範囲を定め,図示せよ.

(2) 上の二次方程式の二つの解のうち,大きい方を z とする.abc が上の範囲を動くときの,z の最大値,最小値を求めよ.

[5] ベンチが k+1 個一列に並べてあり,\mbox{A}\mbox{B} の二人が次のようなゲームをする.最初 \mbox{A} は左端,\mbox{B} は右端のベンチにおり,じゃんけんをして勝った方が他の端に向って一つ隣りのベンチに進み,負けた方は動かないとする.また二人が同じ手を出して引き分けとなったときには,二人とも動かないとする.こうしてじゃんけんを繰返して早く他の隣のベンチに着いた者を勝ちとする.一回のじゃんけんで,\mbox{A} が勝つ確率,負ける確率,引き分けとなる確率はすべて等しいとき,次の確率を求めよ.

(1) n 回じゃんけんをした後に,二人が同じベンチに座っている確率 q

(2) n 回じゃんけんをしたとき,\mbox{A}\mbox{B} の移動回数がそれぞれ x 回,y 回である確率 p(x,y)

(3) k=3 のとき n 回のじゃんけんの後に,まだゲームの勝敗がきまらない確率 p,ただし n\geqq3 とする.

[6] 直円錐(すい)形のグラスに水が満ちている.水面の円の半径は 1,深さも 1 である.

(1) このグラスを右の図のように角度 \alpha だけ傾けたとき,できる水面は楕(だ)円である.この楕円の中心からグラスのふちを含む平面までの距離 l と,楕円の長半径 a および短半径 b を,m=\tan\alpha で表せ.
ただし楕円の長半径,短半径とは,それぞれ長軸,短軸の長さの\dfrac{1}{2} のことである.

(2) 傾けたときこぼれた水の量が,最初の水の量の \dfrac{1}{2} であるとき,
m=\tan\alpha の値を求めよ.ただしグラスの円錐の頂点から,新しい水面までの距離を h とするとき,残った水の量は,\dfrac{1}{3}\pi abh に等しいことを用いよ.

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