[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1994年(平成6年)東京大学前期-数学(理科)[5]

2024.01.10記

[5] 大量のカードがあり,各々のカードに123456 の数字のいずれかの一つが書かれている.これらのカードから無作為に 1 枚をひくとき,どの数字のカードをひく確率も正である.さらに,3 の数字のカードをひく確率は p であり,1256 の数字のカードをひく確率はそれぞれ q に等しいとする.

これらのカードから 1 枚をひき,その数字 a を記録し,このカードをもとに戻して,もう 1 枚ひき,その数字を b とする.このとき,a+b\leqq 4 となる事象を Aa\lt b となる事象を B とし,それぞれのおこる確率を P(A)P(B) と書く.

(1) E=2P(A)+P(B) とおくとき,Epq で表せ.

(2) \dfrac{1}{p}\dfrac{1}{q} がともに自然数であるとき,E の値を最大にするような pq を求めよ.

2024.01.12記

[解答]
(1) 4 の数字のカードをひく確率を r とすると r=1-p-4q である.
P(A)=q(2q+p)+q(2q)+pq=4q^2+2pq
であり,
P(B)=\dfrac{1}{2}\{1-(p^2+4q^2+r^2)\}
であるから,
2E=4P(A)+2P(B)=16q^2+8pq+\{1-(p^2+4q^2+r^2)\}=-2p^2-4q^2+2p+8q
となり,
E=-p^2-2q^2+p+4q
となる.

(2) p=\dfrac{1}{m}q=\dfrac{1}{n}m,nは2以上の自然数)とおくと p+4q\lt 1 から n+4m\lt mn であるから,
E=-\left(\dfrac{1}{m}-\dfrac{1}{2}\right)^2+2\left(\dfrac{1}{n}-1\right)^2+\dfrac{9}{4}
の,n+4m\lt mn における最大値を求めれば良い.

ここで,m を固定すると n\gt \dfrac{4m}{m-1}=4+\dfrac{4}{m-1} における E の最大値を求めれば良いが,これは n が最小のときに最大となるので.
m=2 のとき n=9E=\dfrac{217}{324}=0.66…
m=3 のとき n=7E=\dfrac{332}{441}=0.75…
m=4 のとき n=6E=\dfrac{460}{576}=0.79…
m=5 のとき n=6E=\dfrac{694}{900}=0.77…
となり,
m\geqq 6 のとき n=5E=-\left(\dfrac{1}{m}-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{32}{25}+\dfrac{9}{4}
m=6 のときに最大となり E=\dfrac{773}{900}=0.85…
となる.

以上から,p=\dfrac{1}{6}q=\dfrac{1}{5} のときに E は最大となる.