[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1975年(昭和50年)東京大学-数学(理科)[1]

2023.08.11記

[1] 三角形 \mbox{ABC} において,\mbox{BC}=32\mbox{CA}=36\mbox{AB}=25 とする.この三角形の二辺の上に両端をもつ線分 \mbox{PQ} によって,この三角形の面積を二等分する.そのような \mbox{PQ} の長さが最短になる場合の,\mbox{P}\mbox{Q} の位置を求めよ.

2023.08.11記

[解答]
まず一般の三角形について考える.
\mbox{XY}=z\mbox{YZ}=x\mbox{ZX}=y の三角形に対して
\mbox{P}\mbox{Q}\mbox{XY}\mbox{XZ} 上にとり,
\mbox{XP}=p\mbox{XQ}=q とおくと,線分 \mbox{PQ}\triangle\mbox{XYZ}の面積を二等分するので pq=\dfrac{yz}{2} であり,余弦定理により
\mbox{PQ}^2=p^2+q^2-2pq\cos X=(p-q)^2+yz(1-\cos X)=\dfrac{x^2-(y-z)^2}{2}=(p-q)^2+\dfrac{(x+y+z-2y)(x+y+z-2z)}{2}
であるから,\mbox{PQ}p=q=\sqrt{\dfrac{bc}{2}} のときに最小となる.ここで最小値
\dfrac{(x+y+z-2y)(x+y+z-2z)}{2}
を最小にするには,yz を大きくすれば良いので,x\triangle\mbox{ABC}の最小辺\mbox{AB}となるようにすれば良い.

つまり,\mbox{P}\mbox{Q}\mbox{CA}\mbox{CB} 上にあり,\mbox{CA}=\mbox{CB}=\sqrt{\dfrac{32\cdot36}{2}}=24 のときに\mbox{PQ} の長さが最短になる.

\triangle\mbox{XYZ}=\dfrac{yz}{2}\sin X であるから,
\mbox{PQ}^2=(p-q)^2+yz(1-\cos X)=(p-q)^2+2\triangle\mbox{XYZ}\cdot\dfrac{1-\cos X}{\sin X}=(p-q)^2+2\triangle\mbox{XYZ}\cdot\tan\dfrac{X}{2}
と変形でき,よって X\triangle\mbox{ABC} の最小角,つまり最小辺 \mbox{AB}の対角 C となるようにすれば良いことがわかる.

なお,このような線分 \mbox{PQ}の包絡線は双曲線となり,線分 \mbox{PQ}と包絡線は \mbox{PQ} の中点で接することは有名である.