[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1975年(昭和50年)東京大学-数学(理科)[2]

2023.08.11記

[2] klmn は負でない整数とする.0 でないすべての x に対して等式 \dfrac{(x+1)^k}{x^l}-1=\dfrac{(x+1)^m}{x^n} を成り立たせるような klmn の組を求めよ.

2023.08.11記

[解答]
x=1 を代入すると 2^k-1=2^m であり,左辺は0か奇数,右辺は1か正の偶数であるから,両辺の値は1でなければならない.よって k=1m=0 である.

このとき等式は \dfrac{x+1}{x^l}-1=\dfrac{1}{x^n} となるが,x=2 を代入すると
\dfrac{3}{2^l}-1=\dfrac{1}{2^n},つまり
(3-2^{l})\cdot 2^{n-l}=1
となる.よって 3-2^l\gt 0 だから,l=01 となり,(l,n)=(0,-1)(1,1) となるが条件をみたすのは (l,n)=(1,0) のみである.以上から k=1,l=1,m=0,n=1 が必要であり,このとき等式は
\dfrac{x+1}{x}-1=\dfrac{1}{x} となり,確かに0 でないすべての x に対して成立する.

\dfrac{3}{2^l}-1=\dfrac{1}{2^n}で右辺は0以上1以下だから \dfrac{3}{2^l} は 1以上2以下でなければならず,l=1 である,とする方が早い.

また,x=1 を代入した後にx=\dfrac{1}{2} を代入すると
3\cdot 2^{l-1} -1 = 2^n
となるが,これより
2^{l+1} = 2^n+2^{l-1}+1
となる.2進数で考えると,左辺は1が1つだけだから,右辺は 1+1+2=4 でなければ1が1つにならないので,2^{l+1}=2^n+2^{l-1}+1=4となり,l=1,n=1 である,としても良い.