[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1977年(昭和52年)東京大学-数学(理科)[5]新課程

[5](新課程)\begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}=I\begin{pmatrix} 0 & -1 \\ 1 & 0 \end{pmatrix}=J と書く.行列 A=\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} と実数 t に対し
A(I-tJ)=I+tJ という関係が成り立つとき,abcdt の式で表せ.

また t が実数全体を動くとき,関係\begin{pmatrix} x \\ y\end{pmatrix}=A\begin{pmatrix} 3 \\ 4\end{pmatrix}で定まる点 (x,y) が動いてできる図形を求め,これを図示せよ.

本問のテーマ
複素数の行列表現

2020.11.27記

[大人の解答]
aI+bJ\mapsto a+bi という対応から,

 (I+tJ)(I-tJ)^{-1}\mapsto \dfrac{1+ti}{1-ti}=\dfrac{(1-t^2)+2ti}{1+t^2}
となり A=\dfrac{(1-t^2)I+2tJ}{1+t^2} だから
a=d=\dfrac{1-t^2}{1+t^2}b=-c=-\dfrac{-2t}{1+t^2}
となる.

t=\tan\dfrac{\theta}{2} とおくと A=R(\theta) となる.
t が実数のとき,-\pi \lt \theta \lt \pi\theta\neq -\pi)だから,求める軌跡は
x^2+y^2=5 から (-3,-4) を除いたもの.