[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1983年(昭和58年)東京大学-数学(理科)[3]

2023.08.23記

[3] 平面上に点 \mbox{O} を中心とする半径 1 の円 \mbox{C} がある.また,この平面上の \mbox{O} と異なる点 \mbox{A} を通って直線 \mbox{OA} と垂直な空間直線 l があり,平面とのなす角が 45^{\circ} である.このとき,円 \mbox{C} と直線 l の間の最短距離を,2\mbox{O}\mbox{A} 間の距離 a で表せ.

2020.11.24記

[解答]
l 上の点 \rm PC 上の点 \rm Q{\rm P}(a,t,t),{\rm Q}(\cos\theta,\sin\theta) とおくと
{\rm PQ}^2=(a-\cos\theta)^2+(t-\sin\theta)^2+t^2=(a-\cos\theta)^2+2\Bigl(t-\dfrac{\sin\theta}{2}\Bigr)^2+\dfrac{\sin^2\theta}{2}
となる.t は全実数を動くので,この関数は t=\dfrac{\sin\theta}{2} のとき最小値
(a-\cos\theta)^2+\dfrac{\sin^2\theta}{2}
をとる.……(★)

これを
\dfrac{1}{2}(\cos\theta-2a)^2-a^2+\dfrac{1}{2}
とみることによって,軸 2a\gt 0)が -11 の間に含まれるかどうかで場合分けして

0\lt a\leqq\dfrac{1}{2} のとき \cos\theta=2aで最小値\sqrt{\dfrac{1}{2}-a^2}

\dfrac{1}{2}\leqq aのとき \cos\theta=1で最小値 |a-1|

となる.


なお,(★)の式を (a,0) と楕円x^2+2y^2=1 上との距離の最小値とみると,楕円の頂点 (1,0) における曲率半径は,
一般の \dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 の頂点 (a,0) における曲率半径が \dfrac{b^2}{a} であることから \dfrac{1}{2} となるので,a\geqq\dfrac{1}{2} のときは (a,0) で最小値をとることがわかる.

[注意] \rm Pxy 平面に正射影した点を \rm H とすると,{\rm PQ}^2={\rm PH}^2+{\rm HQ}^2={\rm AH}^2+{\rm HQ}^2
となる.
\rm Q から lxy 平面に正射影への垂線の足を \rm K とすると,{\rm HQ}^2={\rm HK}^2+{\rm KQ}^2 であるから,
{\rm PQ}^2={\rm AH}^2+{\rm HK}^2+{\rm KQ}^2 となる.ここで \rm Q を固定すると \rm K は定点で,{\rm AH}^2+{\rm HK}^2\geqq \dfrac{{\rm AK}^2}{2} が成立するので
{\rm PQ}^2\geqq \Bigl(\dfrac{\rm AK}{\sqrt{2}}\Bigr)^2+{\rm KQ}^2 となる.
よって図形全体を y 軸方向に\dfrac{1}{\sqrt{2}}倍にして\rm Q\rm R に移ったとすると
{\rm PQ}^2\geqq \Bigl(\dfrac{\rm AK}{\sqrt{2}}\Bigr)^2+{\rm KQ}^2={\rm AR}^2
となるので,{\rm A}(a,0) と楕円 x^2+2y^2=1 上の点 \rm R との距離の最小値を求める問題に帰着できる.