[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1983年(昭和58年)東京大学-数学(理科)[4]

2023.08.23記

[4] xy 平面上の y\geqq x^2 で表される領域を \mbox{D} とする.\mbox{D} に含まれる 1 辺の長さ t の正方形で,各辺が座標軸と平行または 45^{\circ} の角をなすものをすべて考える.

このとき,これらの正方形の中心の y 座標の最小値を t の関数として表し,そのグラフをかけ.

2020.11.24記
凸多角形が凸図形に含まれることと,凸多角形の全ての頂点が凸図形に含まれることは同値.

[解答]
放物線は凸で左右対称だから,放物線に含まれる正方形を平行移動して対称の中心を放物線の軸上に移動することができる.ここで t=2s とおく.

(i) 辺が座標軸に平行な正方形の場合
正方形の中心を (0,h) とおくと4頂点 (\pm s, h\pm s)y\geqq x^2 をみたせば良いので
 h+s\geqq s^2 h-s\geqq s^2の両方が成立すれば良く  h\geqq s^2+s である.

(i) 辺が座標軸と 45^{\circ} なす正方形の場合
4頂点 (\pm \sqrt{2}s, h)(0,h\pm\sqrt{2}s)y\geqq x^2 をみたせば良いので
 h\geqq \sqrt{2}s h\geqq -\sqrt{2}s h\geqq 2s^2 のすべてが成立すればよく,h\geqq \max\{\sqrt{2}s,2s^2\} である.

これらをまとめて  h=\min\{ s^2+s, \max\{\sqrt{2}s,2s^2\}\} =\min\Bigl\{ \dfrac{t^2}{4}+\dfrac{t}{2}, \max\Bigl\{\dfrac{t}{\sqrt{2}},\dfrac{t^2}{2}\Bigr\}\Bigr\} となる.