[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1986年(昭和61年)東京大学-数学(理科)[3]

2023.08.29記

[3] (1) xyz 空間において,三点 \mbox{A}\left(0,0,\dfrac{1}{2}\right)\mbox{B}\left(0,\dfrac{1}{2},1\right)\mbox{C}(1,0,1) を通る平面 \mbox{S}_0 に垂直で,長さ 1 のベクトル \overrightarrow{n_0} をすべて求めよ.

(2) 二点 \mbox{D}(1,0,0)\mbox{E}(0,1,0) を通る直線 l を軸として,平面 \mbox{S}_0 を回転して得られるすべての平面 \mbox{S} を考える.このような平面 \mbox{S} に垂直で長さ1のベクトル\overrightarrow{n}=(x,y,z)y 成分の絶対値|y|\mbox{S} と共に変化するが,その最大値および最小値を求めよ.

2020.12.14記

[解答]
外積を使っても、平面ABCの方程式を求めて法線ベクトルを求めても良い.いずれにせよ,\vec{n_0}=\pm\dfrac{1}{3}(1,2,-2) となる.この単位ベクトルと \vec{l}=(-1,1,0)内積が一定であることから,このベクトルを回転させたベクトルの先端 (x,y,z)
(x,y,z)\cdot(-1,1,1)=\vec{n_0}\cdot(-1,1,1)
により,平面 x-y=\dfrac{1}{3} または x-y=-\dfrac{1}{3} 上にある.

また,\vec{n_0} は単位ベクトルだから、x^2+y^2+z^2=1 をみたす.

図形は原点対称なので,x-y=\dfrac{1}{3} について考えれば十分であり,このとき \Bigl(y+\dfrac{1}{3}\Bigr)^2+y^2+z^2=1 をみたす.

これは法線ベクトルの先端を yz 平面に正射影した図形で,空間の円の正射影として楕円が得られていることがわかる.

この楕円で y 座標のとりうる値の最大、最小は式の形から楕円の対称軸が z=0 であることに注意すると、z=0 のときに
y=\dfrac{-1\pm\sqrt{17}}{6} となる.

楕円は連続だから  \dfrac{-1-\sqrt{17}}{6}\leqq y\leqq \dfrac{-1+\sqrt{17}}{6} となる.

x-y=\dfrac{1}{3} の場合は、これを原点対称移動させたものだから  \dfrac{1-\sqrt{17}}{6}\leqq y\leqq \dfrac{1+\sqrt{17}}{6} となる.

以上から  \dfrac{-1-\sqrt{17}}{6}\leqq y\leqq \dfrac{1+\sqrt{17}}{6} となり, 0\leqq |y|\leqq \dfrac{1+\sqrt{17}}{6} が成立する.

よって最小値は 0,最大値は \dfrac{1+\sqrt{17}}{6} となる.