[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1983年(昭和58年)東京大学-数学(理科)[5]

2023.08.23記

[5] 正四角錐 \mbox{V} に内接する球を \mbox{S} とする.\mbox{V} をいろいろ変えるとき,比 R=\dfrac{\mbox{Sの表面積}}{\mbox{Vの表面積}} のとりうる値のうち,最大のものを求めよ.

ここで正四角錐とは,底面が正方形で,底面の中心と頂点を結ぶ直線が底面に垂直であるような角錐のこととする.

2020.11.24記

[解答]
四角錐の側面の底辺,高さ,内接球の半径を 2a,h,r とすると四角錐の体積は
\dfrac{1}{3}4a^2\sqrt{h^2-a^2}=\dfrac{1}{3}r(4a^2+4ah)
と2通りにかけるので,
16a^4(h^2-a^2)=r^2(4a^2+4ah)^2
から
r^2=\dfrac{a^2(h-a)}{a+h}
となる.この条件下で
R=\dfrac{4\pi r^2}{4a^2+4ah}=\dfrac{\pi a(h-a)}{(a+h)^2}
を最大化すれば良い.a:h=t:1-t とおくと
R=\pi t(1-2t)t=\dfrac{1}{4} で最大値 \dfrac{\pi}{8} をとる.

なお,このとき側面の3角形の3辺の比は2:2\sqrt{2},2\sqrt{2} となっており,
2a:h=2:3 だから底面の1辺と高さの比は 2:3 となる.

2023.08.23記

[別解]
四角錐の底辺の長さを 2a,底面と側面のなす角度を 2\theta0\lt\theta\lt\dfrac{\pi}{4}) とおくと
四角錐の側面積は (四角錐の底面積)\times\dfrac{1}{\cos2\theta}=\dfrac{4a^2}{\cos2\theta}
だから
(\mbox{V}の表面積)=4a^2\left(1+\dfrac{1}{\cos2\theta}\right)=\dfrac{8a^2\cos^2\theta}{2\cos^2\theta-1}
である.

球の半径は a\tan\theta であるから
(\mbox{S}の表面積)=4\pi a^2\tan^2\theta=4\pi a^2\left(\dfrac{1}{\cos^2\theta}-1\right)=\dfrac{4\pi a^2(1-\cos^2\theta)}{\cos^2\theta}
である.

よって t=\dfrac{1}{\cos^2\theta} とおくと 1\lt t\lt 2 であり,
R=\dfrac{4\pi a^2(1-\cos^2\theta)}{\cos^2\theta}\times\dfrac{2\cos^2\theta-1}{8a^2\cos^2\theta}=\dfrac{\pi}{2} (t-1)(2-t)
であるから,Rt=\dfrac{3}{2} のときに最大値 \dfrac{\pi}{8} をとる.