[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1992年(平成4年)東京大学前期-数学(文科)[3]

2024.01.07記

[3] p_1=1p_2=1p_{n+2}=p_n+p_{n+1}n\geqq 1)によって定義される数列 \{p_n\}フィボナッチ数列といい,その一般項は
p_n=\dfrac{1}{\sqrt5} \left\{ { \left( \dfrac{1+\sqrt5}{2} \right) }^n-{ \left( \dfrac{1-\sqrt5}{2} \right) }^n \right\}
で与えられる.必要ならばこの事実を用いて,次の問いに答えよ.

各桁の数字が 01 であるような自然数の列 X_nn=12,…)を次の規則により定める.

(i) X_1=1

(ii) X_n のある桁の数字 \alpha0 ならば \alpha1 で置き換え,\alpha1 ならば \alpha を `10' で置き換える.X_n の各桁ごとにこのような置き換えを行って得られる自然数X_{n+1} とする.

たとえば,X_1=1X_2=10X_3=101X_4=10110X_5=10110101,… となる.

(1) X_n の桁数 a_n を求めよ.

(2) X_n の中に `01' という数字の配列が現れる回数 b_n を求めよ(たとえば,b_1=0b_2=0b_3=1b_4=1b_5=3,…).


2024.01.07記

[解答]
(1) X_n の各桁を表す 0 の個数を x_n1 の個数を y_n とおくと,
x_1=0y_1=1
x_{n+1}=y_ny_{n+1}=x_n+y_n
だから,
x_1=0x_2=1x_{n+2}=x_{n+1}+x_n
y_1=1y_2=1y_{n+2}=y_{n+1}+y_n
が成立する.よって a_n=x_n+y_n について
a_1=1a_2=2a_{n+2}=a_{n+1}+a_n
が成立する.よって
a_n=p_{n+1}=\dfrac{1}{\sqrt5} \left\{\left( \dfrac{1+\sqrt5}{2} \right)^{n+1}-\left( \dfrac{1-\sqrt5}{2} \right)^{n+1} \right\}
となる.

(2) X_n は `1' と `10' を並べたものであるから `0' は連続せず,先頭は必ず `1' となるので
X_n の末尾が`1'ならば b_n は `0' の個数 x_n に等しく,
X_n の末尾が`0'ならば b_n は `0' の個数 x_n より1小さい.

ここで X_n の末尾が `0'ならば X_{n+1} の末尾が `1' であり,
X_n の末尾が `1'ならば X_{n+1} の末尾が `0' であるから,末尾は`0',`1'を交互に繰り返し,nが奇数ならば`1',nが偶数ならば`0'となる.

よって,

n が奇数のとき:b_n=x_n=p_{n-1}=\dfrac{1}{\sqrt5} \left\{\left( \dfrac{1+\sqrt5}{2} \right)^{n-1}-\left( \dfrac{1-\sqrt5}{2} \right)^{n-1} \right\}

n が偶数のとき:b_n=x_n-1=p_{n-1}-1=\dfrac{1}{\sqrt5} \left\{\left( \dfrac{1+\sqrt5}{2} \right)^{n-1}-\left( \dfrac{1-\sqrt5}{2} \right)^{n-1} \right\}-1