2020.08.10記
(1) の像が に完全に重なるような1次変換を表わす行列をすべて求めよ.
(2) (1)で求めた行列すべての和を求めよ.
2020.08.10記
を に移す1次変換は合同変換であるから,回転または折り返しに限る.このとき を に重ねる重ね方は の行き先 通りあり、回転か折り返しの2通りだから,(1) の行列は 個ある.この 個の1次変換によって, は の 個の頂点に2回ずつ移される.他の頂点についても同様である.
よってこの 個の行列の和(平均の 倍)によって,すべての頂点は原点に移される.よって求める和は零行列である.
(1) の論証の鍵は, の像が に完全に重なるとき,隣り合う頂点は隣り合う頂点 にうつるということである.(2)は式として処理をしても良いが図形的に処理して も良いだろう.
(1) とおくと, の頂点は ()となる.
1次変換において、多角形が多角形にうつるとき、 頂点は頂点にうつり、辺は辺にうつるので、 の隣り合う頂点は の像の隣り合う頂点にうつる。よって題意をみたすような1次変換 により であるとき,
(i) (,添字は で考える)
(ii) (,添字は で考える)
のいずれかが成立する.平面上の1次変換は,原点以外の2点の像が決まれば 一意に定まるので(i),(ii)をみたす1次変換が存在すればそれは一意に定まり,(i)は原点まわりの の回転とすれば条件をみたし、 (ii)は原点を通り 方向の直線に関する折り返し とすれば条件をみたす.よって求める行列は次の 個である.
,(,)
となる。
(2) 求める和を とすると
が成立する。ここで に注意すると,
が成立する。 また,
とおくと,
により となるが, により となる.
以上により は零行列となる.
さて、(2)を簡単に求める方法はないだろうか?
((2)のみ)
原点中心 回転の行列を とし、(1)の 個の行列を とする。このとき の集合と の集合は完全に一致する.
(この部分をより詳しく説明すると、 なる行列を , なる行列を ,(,添字は で考える)とすると が成立するからである)
よって , つまり が成立する(は単位行列).ここで は不動点をもたないので,固有値1をもたないから, は固有値0をもたず,よって は逆行列 をもつので となる.
という訳である。なお、(2)は次のように解いても良い。(大人の解法を説明している)
((2)のみ)
(1) の 個の一次変換よって の像は 全部に 回ずつうつる.よって任意の に対して
が成立する。なぜなら正 角形の重心は原点だからである.よって は零行列である.