2022.11.03記
(1) および を示せ.
(2) すべての実数 に対して, が成り立つとする.実数 が を満たしているならば, であることを示せ.
(3) のとき, を満たす整数 の組をすべて求めよ.
(4) とする. 以外のすべての実数 に対して, となるための必要十分条件を を用いた不等式で表せ.
(5) で(4)の不等式が成り立つとする.このとき,正の定数 に対して を満たす整数 の組は有限個であることを示せ.
2022.11.03記
(1)は(2)で使うための誘導なのかも知れないが思いつかなかった
(はじめから対称行列で出題しないので,何かあるのだろうと思うのだが).
(1) を1×1行列とみて転置をとると
が成立するので,この2つの平均をとると
となる.
一方,
である.
(2) とおき,(対称行列)とおくと,
が成立する.このとき,すべての実数 に対して, が成り立つとする.実数 が を満たしているならば, であることを示せばよい.
がすべての実数に対して成立する.
(i) のとき:
の場合を考えれば が必要で,このとき は零行列かつ は恒等的に 0 となるので題意をみたす.
(ii) , のとき:
が任意の について成立するには が必要で,このとき を満たしているならば, であり,このとき
である.
(iii) , のとき:
(ii) でと,と を入れ替えた状況であるから題意は成立する.
(iv) , のとき:
の場合を考えれば が必要で,かつ判別式に相当する
をみたすことが必要十分条件である.
(a) のとき: となるのは のときだけであり,このとき
である.
(b) のとき:
となるのは,以下複号同順で
のときだけであり,このとき
である.
以上によりすべての場合が尽くされたので題意は成立する.
(3) であるから の4組
(4) (2)の結果から, かつ かつ
(5) より が必要で,
同様に が必要であるから,これらの条件をみたす は有限個となり,求める整数の組の個数はその部分集合であるから,やはり有限個である.
(2) とおき,(対称行列)とおくと,
が成立する.このとき,すべての実数 に対して, が成り立つとする.実数 が を満たしているならば, であることを示せばよい.
のときは題意が成立するので,以下 とする.このとき と互いに一次独立なベクトル を選ぶことができ,平面上の任意のベクトル は (は実数) と表現できる.
このとき
が任意の について成立する.
ここで のとき となるが, とすると左辺は定数にもかかわらず,右辺をいくらでも大きくするような を選ぶことができるので,この不等式が任意の について成立することに矛盾する.よって が成立する.
これと から
が任意の任意のベクトル について成立する.よって となり題意が証明された.
(2) 非負定値2次形式が0となるのは,そのベクトルが固有値0の固有空間にあるときだけである,ということの証明.