[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1958年(昭和33年)東京大学-数学(解析II)[2]

[2] 底面の半径が  a であるような直円柱がある.底面の直径を通り,底面と角  \alpha をなす平面でこの直円柱をきり,この平面と直円柱の底面および側面で包まれた図のような立体の体積を求めよ.ただし,  0\lt \alpha\lt \dfrac{\pi}{2} とする.

図略

2020.04.01記

[解答]
底面の切り口と垂直な平面を考えるとこの立体との共通部分は底辺  \sqrt{a^2-x^2},高さは  \sqrt{a^2-x^2}\tan\alpha の三角形となるから,その面積は  \dfrac{1}{2}(a^2-x^2)\tan\alpha である.またこの立体は底面の中点を通り,切り口に垂直な平面に対して対称,ゆえに求める体積  V
 V=\displaystyle \int_{0}^{a}(a^2-x^2)\tan\alpha\, dx =\tan\alpha\left[a^2x-\dfrac{x^3}{3}\right]_0^{a} =\dfrac{2}{3}a^3\tan\alpha

類題
1943年(昭和18年)東京帝國大學農學部-數學[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR

本問の立体を円柱の軸方向に \dfrac{1}{\tan\alpha} 倍すると角度が 45^{\circ} の場合に帰着できる。

2022.02.11記

[うまい解答]
断面の直角2等辺3角形と、斜辺を弦とする四分円を考えると、円と直角2等辺三角形の面積比は \pi:\dfrac{1}{2} となる。よって、カバリエリの原理により、その体積は、半径 a の球の体積の \dfrac{1}{2\pi} 倍の \dfrac{2}{3}a^3 となる。この立体を円柱の軸方向に  \tan\alpha 倍したものが求める立体の体積は  =\dfrac{2}{3}a^3\tan\alpha となる。

2020.04.07記
この楔体の体積については、アルキメデスが求めている(アルキメデスは爪型と呼んでいる)
1948年(昭和23年)東京大学農学部-数学[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR

も参照のこと