[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1997年(平成9年)東京大学前期-数学(文科)[1]

2024.01.15記

[1] ab は実数で a^2+b^2=16a^3+b^3=44 をみたしている.このとき,

(1) a+b の値を求めよ.

(2) n を2以上の整数とするとき,a^n+b^n4 で割り切れる整数であることを示せ.

2020.01.11記

[解答]
S_n=a^n+b^n とし,s=S_1t=ab とおくと,
S_{n+2}=sS_{n+1}-tS_n が任意の自然数 n について成立する.

S_2=sS_1-tS_0=s^2-2t=16
S_3=sS_2-tS_1=16s-2ts=44

であるから,
16s-s(s^2-16)=44
つまり
s^3-48s+88=(s-2)(s^2+2s-44)=0
が成立する.よって s=2,-1\pm\sqrt{45} となる.

今、a,b が実数より
(a-b)^2=s^2-4t=32-s^2\geqq 0
であるから,s=2 のみが適合する.

よって a+b=2

(2) s=2 より t=-6 となるので,
S_{n+2}=2S_{n+1}+6S_n
となる.S_2,S_3 は4の倍数だから,この漸化式から、帰納的に2以上の任意の自然数 n について S_n は4の倍数となる.