[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2023年(令和5年)早稲田大学理工学部-数学[1]

2023.12.20記

[1] n自然数として,整式 (3x+2)^nx^2+x+1 で割った余りを a_nx+b_n とおく.以下の問に答えよ.

(1) a_nb_n を,それぞれ a_nb_n を用いて表せ.

(2) 全ての n に対して,a_nb_n7 で割り切れないことを示せ.

(3) a_nb_na_{n+1}b_{n+1} で表し,全ての n に対して, 2 つの整数 a_nb_n は互いに素であることを示せ.

本問のテーマ

2023.12.20記
x^2+x+1 をみて \omega を思い出したい所だが,整数問題なのでそっと仕舞っておこう.

[解答]
(1) (3x+2)(a_nx+b_n)=3a_nx^2+3b_nx+2a_nx+2b_n=(-a_n+3b_n)x+(-3a_n+2b_n)
であるから,a_{n+1}=-a_n+3b_nb_{n+1}=-3a_n+2b_n となる.

(2) a_1=3b_1=2a_2=3b_2=-5 であるから,mod 7 で a_n\equiv 3b_n\equiv 2 と予想できる.

n=1 のとき a_1=3b_1=2 より成立.

n=k のとき成立すると仮定すると
a_{n+1}=-a_n+3b_n\equiv -3+6=3
b_{n+1}=-3a_n+2b_n\equiv -9+4=-5\equiv 2
となり n=k+1 のときも成立する.よって数学的帰納法により任意の自然数 n に対してmod 7 で a_n\equiv 3b_n\equiv 2 となり,題意は示された.

(3) (1) より a_n=\dfrac{2a_{n+1}-3b_{n+1}}{7}b_n=\dfrac{3a_{n+1}-b_{n+1}}{7} である.

a_nb_n の最大公約数を g_n とおく(n=1,2,\ldots)と(2) より g_n と 7 は互いに素である.

7a_n=2a_{n+1}-3b_{n+1}7b_n=3a_{n+1}-b_{n+1}g_{n+1} で割り切れて g_{n+1} と 7 は互いに素であるから,a_nb_ng_{n+1} で割り切れるので,
g_{n}g_{n+1} を約数にもつことが任意の自然数 n について言える.

よってこれを繰り返すと,任意の自然数 n について g_ng_1=1(3と2の最大公約数)の約数であることが言え,よって全ての n に対して,g_n=1,つまり 2 つの整数 a_nb_n は互いに素である.