(1) もまた に属することを示せ.
(2) と書き,以下 に対して
,,,,
とおく.このとき, のすべての元 に対して
が成立するような の値を求めよ.
2021.01.23記
ジョルダン標準形.
分数型の漸化式
は
とおくと
と変形でき,
が成立するので,行列の 乗を求めることに帰着できる.
また,2次方程式 が相異2解 をもつとき, が等比数列となることが知られている.
まずは行列で解いてみる.
とおくと となるので, が単位行列の定数倍(0倍を除く)となるための の条件を求めることになる.
(1)
だから, の虚部は の虚部に等しく,これは の虚部の 倍である.
よって, の虚部が正ならば, の虚部も正となり, ならば
(2) とおくと が成立するので,任意の について となれば良い.
ここで であり,とすると は線型独立となるので, が単位行列の定数倍(0倍を除く)となることが必要十分条件.
よって, に注意すると, のジョルダン標準形は
または のいずれかであるが,前者の場合は も単位行列となり不適.よって のジョルダン標準形は後者の場合である.
とおくと,
だから,これが単位行列の定数倍となるとき,(は整数)である.
の固有方程式は であるから,
となり, より で である.
, であるから,
となる.
ジョルダン標準形を用いない場合,ケーリー・ハミルトンの定理を使って次数を下げて, が単位行列の定数倍となる条件を求めるのが一般的だが,本問の場合は特殊な行列なので,もっと簡単に を表現することができる.
(2) とおくと が成立するので,任意の について となれば良い.
ここで であり,とすると は線型独立となるので, が単位行列の定数倍(0倍を除く)となることが必要十分条件.
とおくと だから
となり,これが単位行列の0倍以外の定数倍になれば良いが, だから で が零行列になることはないので の係数が0になれば良い.
よって求める必要十分条件は かつ ,つまり かつ となる.
よって,
ケーリー・ハミルトンの定理で次数下げをすると次のようになる.
ケーリー・ハミルトンの定理により となるので
,
が成立するので, かつ
つまり,
次に,2次方程式 が相異2解 をもつとき, が等比数列となることを利用して解いてみる.
(2) の解は, をみたす.
(i) のとき, について となるので となるのは だから不適.
(ii) のとき、 の解を
( または ())とおくと
だから,
となるので,
より
が任意の について成立する.ここで なる がとれるので,
が必要で,かつ十分.
今 または ()より だから,
となるが,この式は のとき成立しないので,
()のときである.
このとき,
, から
であり, ()より
となり
(これは をみたしている)
なお, かつ ()のとき,
() とおくと, であり,
が成立するので, が の整数倍となり, となる.
, であるから,
となる.最初のジョルダン標準形と同じ考え方になっている.
なお, と書けるので, に対して(虚部が0でないので だから) が一意に定まり,その虚部は正となる(負または0とすると(1)に矛盾する)ので, 上で には逆元が唯一定まる.
2021.06.10記
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