[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2010年(平成22年)東京大学前期-数学(理科)[3]

本問のテーマ
マルコフ過程(2021.02.09)

2021.02.10記
マルコフ過程だが,推移行列が 31\times 31 行列となるので推移行列を用いて議論するのは大変である.表が出れば z\to\min\{2z,30\},裏が出れば z\to\min\{0,2z-30\} へと変化することに注意して漸化式を導くことにする.

[解答]


(1) 一度箱の中のボールの個数が 0 または 30 になると,その後は箱の中のボールの数は変化しない.

(i) 0\leqq x\leqq 15 のとき
表が出れば x\to 2x,裏が出れば x\to 0 へと変化するので
P_m(x)=\dfrac{1}{2}P_{m-1}(2x)

(ii) 15\leqq x\leqq 30 のとき
表が出れば x\to 30,裏が出れば x\to 2x-30 へと変化するので
P_m(x)=\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}P_{m-1}(2x-30)

(2) 10 の次は 0,20 であり,20 の次は 10,30 であるから,
P_2(10)=\dfrac{1}{4}P_{2n}(10)=\dfrac{1}{4}P_{2(n-1)}(10)+\dfrac{1}{4}
となり,P_{2n}(10)=\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{3\cdot 4^n}

(3) 6 の次は 0,12 であり,12 の次は 0,24 であり,24 の次は 18,30 であり,18 の次は 6,30 であるから,
P_4(6)=\dfrac{3}{16}P_{4n}(6)=\dfrac{1}{16}P_{4(n-1)}(6)+\dfrac{3}{16}
となり,P_{4n}(6)=\dfrac{1}{5}-\dfrac{1}{16^n}