[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2016年(平成28年)東京大学-数学(文科)[3]

[3] 座標平面上の2つの放物線
A:y=x^2
B:y=-x^2+px+q
が点 (1.1) で接している.ここで,pq は実数である.さらに t を正の実数とし,放物線 Bx 軸の正の向きに 2ty 軸の正の向きに t だけ平行移動して得られる放物線を C とする.

(1) pq の値を求めよ.

(2) 放物線 AC が囲む領域の面積を S(t) とする.ただし, AC が領域を囲まないときは S(t)=0 と定める.S(t) を求めよ.

(3) t\gt 0 における S(t) の最大値を求めよ.

2021.03.23記

[解答]

(1) x^2-(-x^2+px+q)=2(x+1)^2 が成立するので p=-4q=-2 である.

(2) C:y=-(x-2t)^2-4(x-2t)-2+t=-x^2+4(t-1)x-4t^2+9t-2 であるから,AC の交点の x 座標は  2x^2-4(t-1)x+4t^2-9t+2=0 の2解となる.

この2次方程式の判別式を D とおくと
D/4=4(t-1)^2-2(4t^2-9t+2)=-4t^2+10t=-4t\Bigl(t-\dfrac{5}{2}\Bigr)
となるので,

t\geqq\dfrac{5}{2} のとき S(t)=0 である.

0\lt t\lt\dfrac{5}{2} のとき,2交点の x 座標を \alpha\beta とおくと,\beta-\alpha=\sqrt{-4t^2+10t} であるから,S(t)=\dfrac{1}{3}(-4t^2+10t)^{\frac{3}{2}} となる.

(3) -4t+10t=-4t\Bigl(t-\dfrac{5}{2}\Bigr) が最大になれば良く,それは t=\dfrac{5}{4} のときで,S\Bigl(\dfrac{5}{4}\Bigr)=\dfrac{1}{3}\Bigl(\dfrac{25}{4}\Bigr)^{\frac{3}{2}} が最大値となる.