[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2023年(令和5年)東京大学-数学(理科)

2023.11.22記

[1] (1) 正の整数 k に対し,A_k=\displaystyle\int_{\sqrt{k\pi}}^{\sqrt{(k+1)\pi}}|\sin(x^2)|dx とおく.次の不等式が成り立つことを示せ.
\dfrac{1}{\sqrt{(k+1)\pi}} \leqq A_k \leqq \dfrac{1}{\sqrt{k\pi}}

(2) 正の整数 n に対し,
B_n=\dfrac{1}{\sqrt{n}}\displaystyle\int_{\sqrt{n\pi}}^{\sqrt{2n\pi}}|\sin(x^2)|dx
とおく.極限 \displaystyle\lim_{n\to\infty}B_n を求めよ.

[2] 黒玉3個,赤玉4個,白玉5個が入っている袋から玉を1個ずつ取り出し,取り出した玉を順に横一列に12個すべて並べる.ただし,袋から個々の玉が取り出される確率は等しいものとする.

(1) どの赤玉も隣り合わない確率 p を求めよ.

(2) どの赤玉も隣り合わないとき,どの黒玉も隣り合わない条件付き確率 q を求めよ.

[3] a を実数とし,座標平面上の点 (0,a) を中心とする半径1の円の周を C とする.

(1) C が,不等式 y\gt x^2 の表す領域に含まれるような a の範囲を求めよ.

(2) a は(1)で求めた範囲にあるとする.C のうち x\geqq0 かつ y\lt a を満たす部分を S とする.S 上の点 \mbox{P} に対し,点 \mbox{P} での C の接線が放物線 y=x^2 によって切り取られてできる線分の長さを L_{\small\mbox{P}} とする. L_{\small\mbox{Q}}=L_{\small\mbox{R}} となる S 上の相異なる2点 \mbox{Q}\mbox{R} が存在するような a の範囲を求めよ.

[4] 座標空間内の4点 \mbox{O}(0,0,0)\mbox{A}(2,0,0)\mbox{B}(1,1,1)\mbox{C}(1,2,3) を考える.

(1) \overrightarrow{\mbox{OP}}\perp\overrightarrow{\mbox{OA}}\overrightarrow{\mbox{OP}}\perp\overrightarrow{\mbox{OB}}\overrightarrow{\mbox{OP}}\cdot\overrightarrow{\mbox{OC}}=1 を満たす点 \mbox{P} の座標を求めよ.

(2) 点 \mbox{P} から直線 \mbox{AB} に垂線を下ろし,その垂線と直線 \mbox{AB} の交点を \mbox{H} とする. \overrightarrow{\mbox{OH}}\overrightarrow{\mbox{OA}}\overrightarrow{\mbox{OB}} を用いて表せ.

(3) 点 \mbox{Q}\displaystyle\overrightarrow{\mbox{OQ}}=\dfrac{3}{4}\overrightarrow{\mbox{OA}}+\overrightarrow{\mbox{OP}} により定め,\mbox{Q} を中心とする半径 r の球面 S を考える.S が三角形 \mbox{OHB} と共有点を持つような r の範囲を求めよ.ただし,三角形 \mbox{OHB} は3点 \mbox{O}\mbox{H}\mbox{B} を含む平面内にあり,周とその内部からなるものとする.

[5] 整式 f(x)={(x-1)}^2(x-2) を考える.

(1) g(x) を実数を係数とする整式とし,g(x)f(x) で割った余りを r(x) とおく.{g(x)}^7f(x) で割った余りと {r(x)}^7f(x) で割った余りが等しいことを示せ.

(2) ab を実数とし,h(x)=x^2+ax+bと おく.{h(x)}^7f(x) で割った余りを h_1(x) とおき,{h_1(x)}^7f(x) で割った余りを h_2(x) とおく.h_2(x)h(x) に等しくなるような ab の組をすべて求めよ.

[6] \mbox{O} を原点とする座標空間において,不等式 |x|\leqq1|y|\leqq1|z|\leqq1 の表す立方体を考える.その立方体の表面のうち,z\lt 1 を満たす部分を S とする.以下,座標空間内の2点 \mbox{A}\mbox{B} が一致するとき,線分 \mbox{AB} は点\mbox{A} を表すものとし,その長さを 0 と定める.

(1) 座標空間内の点 \mbox{P} が次の条件(i),(ii)をともに満たすとき,点 \mbox{P} が動きうる範囲 V の体積を求めよ.

(i) \mbox{OP}\leqq\sqrt{3}

(ii) 線分 \mbox{OP}S は,共有点を持たないか,点 \mbox{P} のみを共有点に持つ.

(2) 座標空間内の点 \mbox{N} と点 \mbox{P} が次の条件(iii),(iv),(v)をすべて満たすとき,点 \mbox{P} が動きうる範囲 W の体積を求めよ.必要ならば,\displaystyle \sin\alpha=\dfrac{1}{\sqrt3} を満たす実数 \alpha \displaystyle \left( 0\lt \alpha\lt \dfrac{\pi}{2} \right) を用いてよい.

(iii) \mbox{ON}+\mbox{NP}\leqq\sqrt{3}

(iv) 線分 \mbox{ON}S は共有点を持たない.

(v) 線分 \mbox{NP}S は,共有点を持たないか,点 \mbox{P} のみを共有点に持つ.

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