[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)東京大学-数学(理科)[5]

2024.02.28記

[5] 座標空間内に3点 \mbox{A}(1,0,0)\mbox{B}(0,1,0)\mbox{C}(0,0,1) をとり, \mbox{D} を線分 \mbox{AC} の中点とする.三角形 \mbox{ABD} の周および内部を x 軸のまわりに1回転させて得られる立体の体積を求めよ.

本問のテーマ
軸の正射影と体積の関係

2024.02.25記
多くのチート解法は,図形を軸に射影する方針(これは曲面を回転させるときも有効なので非常に良い方法)であるが,図形が平面図形の場合は軸を図形に正射影しても良い.この方法については
回転体体積の裏ワザ:軸の正射影と体積の関係 - 球面倶楽部 零八式 mark II
参照(2024.02.28追記)

[うまい解答]
\mbox{BC} の中点を \mbox{E} とすると x 軸を三角形に射影したものは \mbox{AE} となる.

ここで \mbox{AE} を中心に三角形 \mbox{ABD} を回転してできる立体の体積は
\dfrac{1}{3}\pi\cdot\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)^2\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\cdot\dfrac{2}{3}=\dfrac{\sqrt{6}}{18}\pi
であり, x 軸と直線 \mbox{AE} のなす角度の余弦\dfrac{2}{\sqrt{6}} であるから求める体積は
\dfrac{\sqrt{6}}{18}\pi\cdot\dfrac{2}{\sqrt{6}}=\dfrac{\pi}{9}
となる.

2024.02.28記
証明しながら答案を書く

[解答]
\mbox{BC} の中点を \mbox{E} とすると x 軸を三角形に射影したものは \mbox{AE} となり,この式は
(x,y,z)=(1,0,0)+t(-2,1,1)
となる.この直線上の点 (1-2t,t,t) を通り x 軸に垂直な平面による \triangle\rm ABC の切り口である線分上の点と k=1-2t として (k,0,0) との距離の最大を M(k),最小を m(k) とすると,求める体積 V
V=\displaystyle\int_{-1}^{1} \pi\{M(k)^2-m(k)^2\}\,dk
となる.ここで t\Delta t 変化すると,(1-2t,t,t)\sqrt{6}\Delta t だけ動くことに注意して
V=\displaystyle\int_{1}^{0} \pi\{M(1-2t)^2-m(1-2t)^2\}\, (-2\,dt)
=\dfrac{2}{\sqrt{6}}\displaystyle\int_{0}^{1} \pi\{M(1-2t)^2-m(1-2t)^2\}\, (\sqrt{6}\,dt)
と変形すると,
\displaystyle\int_{0}^{1} \pi\{M(1-2t)^2-m(1-2t)^2\}\, (\sqrt{6}\,dt)
\mbox{AE} を中心に三角形 \mbox{ABD} を回転してできる立体の体積を積分で求める式であるから,その積分結果は円錐の体積の \dfrac{2}{3} となり,
\dfrac{1}{3}\pi\cdot\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)^2\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\cdot\dfrac{2}{3}=\dfrac{\sqrt{6}}{18}\pi
となる.よって
V=\dfrac{2}{\sqrt{6}}\cdot\dfrac{\sqrt{6}}{18}\pi
=\dfrac{\pi}{9}
となる.

2024.04.23記
参考
2009年(平成21年)東京大学前期-数学(理科)[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR