[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2021年(令和3年)東北大学理学部数学系AO入試II期-数学[3]

2022.10.14記

[3] n を正の整数,a_0,a_1,a_2,\ldots,a_n を非負の整数として, 整式
f(x)=a_nx^n+a_{n−1}x^{n−1}+a_{n−2}x^{n−2}+\cdots +a_1+a_0
を考える.ただし, a_0\neq 1 とする.
p素数ならば f(p)素数であるとき,次の(A)または(B)が成り立つことを示せ.

(A) a_i=0(i=1,2,3,\ldots,n) かつ a_0素数である.

(B) a_i=0(i=0,2,3,4,\ldots,n) かつ a_1=1 である.

2022.10.14記

[解答]
f(x) の係数は非負であり最高次の係数が正であることから正数 x に対して f(x)\gt 0 が成立する単調増加関数,または正に値をとる定数関数である.

(i) a_0=0 のとき:
素数 p に対して
f(p)\gt 0 かつ f(p)\equiv 0(\textrm{mod}\, p) であるから,f(p)=p
が全ての素数について成立するので,f(x)=x,つまり (B) が成り立つ.

(ii) a_0\neq 0 のとき:
a_0素数でないと仮定すると,a_0合成数であり,その最小の素因数を p とする.
このとき
f(p)\gt 0 かつ f(p)\equiv 0(\textrm{mod}\, p) であるから,f(p)=p
となるが,
p=f(p)\geqq f(0)=a_0\gt p
となり矛盾する.よって a_0素数である.このとき
f(a_0)\gt 0 かつ f(a_0)\equiv 0(\textrm{mod}\, a_0) であるから,f(a_0)=a_0
となるが,
a_0=f(a_0)\geqq f(0)=a_0
より f(a_0)=f(0) となる.ここで f(x) は単調増加関数,または正に値をとる定数関数であるから,この条件をみたすのは定数関数の場合となるので,(A)が成り立つ.