[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2018年(平成30年)東北大学後期-数学(理学部)[1]

2022.04.23記

[1] xy 平面において,xy がともに整数であるとき,点 (x,y) を格子点とよぶ.m を正の整数とするとき,放物線 y=x^2−2mx+m^2x 軸および y 軸によって囲まれた図形を D とする.

(1) D の周上の格子点の数 L_mm で表せ.

(2) D の周上および内部の格子点の数 T_mm で表せ.

(3) D の面積を S_m とする. \displaystyle \lim_{m\to\infty} \dfrac{T_m}{S_m} を求めよ.

本問のテーマ
ピックの公式

2022.04.23記
この問題をピックの公式で解いている人を見掛けないし,4年経っても使い所がなかったので公開しておく.
結局,ピックの公式と 1/6公式を組合せると2乗和の公式が導かれることを使っている.詳細は
ピックの公式と累乗和の公式 - 球面倶楽部 零八式 mark II
参照のこと.


[大人の解答]
(1) 周上の格子点は (0,0),...,(m,0),(m-1,1),\ldots,(0,m^2),\ldots,(0,1)m^2+2m 個だから L_m=m^2+2m

(2) S_m=\dfrac{m^3}{6} であり,D の放物弧を (m,0),(m-1,1),\ldots,(0,m^2) を結ぶ折れ線に置き換えてできる格子多角形 D' の面積を S'_m とすると,1/6 公式から S'_m=S_m+m\cdot\dfrac{1}{6} である.

D' の内部の格子点は T_m-L_m だから,ピックの公式から S'_m=(T_m-L_m)+\dfrac{L_m}{2}-1=T_m-\dfrac{L_m}{2}-1 となるので,
T_m=S'_m+\dfrac{L_m}{2}+1=\dfrac{m^3}{3}+\dfrac{m}{6}+\dfrac{m^2+2m}{2}+1=\dfrac{2m^3+3m^2+7m+6}{6}

(3) \displaystyle \lim_{m\to\infty} \dfrac{T_m}{S_m}=\dfrac{2m^3+3m^2+7m+6}{2m^3}=1

2018年(平成30年)東北大学後期-数学(経済学部)[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
は(3)だけ違う