[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1915年(大正4年)東京帝國大學理科大學物理科-數學[3]

[3] (a) 直角坐標(rectangular coordinates)xy x=a\cos\Bigl(\dfrac{2\pi t}{T}+\alpha \Bigr), y=b\cos\Bigl(\dfrac{2\pi t}{T}+\beta \Bigr)
但シtハ時間,ab\alpha\betaT ハ常數(constants)ニテ表ハサルル運動點ノ道筋ヲ定メ,且ツ此運動ノ著シキ性質ヲ證明セヨ.

(a) 上ノ式ニテ表サル,運動ガab\alpha\beta ノ値ニヨツテ特ニ分リ易クナル特別ナル場合ヲ調ベヨ.

2020.03.04記

\theta=\dfrac{2\pi t}{T}+\alpha, \gamma=\beta-\alphaとおくと、
 x=a\cos\theta
y=b\cos(\theta+\gamma)=b(\cos\gamma\cos\theta+\sin\gamma\sin\theta)
=b(\cos\gamma)\dfrac{x}{a}+b\sin\gamma\sqrt{1-\dfrac{x^2}{a^2}}
なる運動の軌跡を考えれば良い。
\left(y-b(\cos\gamma)\dfrac{x}{a}\right)^2=b^2(\sin^2\gamma)\left(1-\dfrac{x^2}{a^2}\right)
整理して
b^2x^2-2ab(\cos\gamma)xy+a^2y^2=a^2b^2\sin^2\gamma
となる。この2次形式に対応する行列は
\begin{pmatrix} b^2 & -ab\cos\gamma \\ -ab\cos\gamma & a^2 \\ \end{pmatrix}
であり、この行列式は非負である。

(a) 一般的な場合、つまり行列式が正となるときは楕円をあらわす。
この楕円はx=\pm a, y=\pm bなる4直線に接する楕円であり、この楕円上を時間Tで周期運動をする。

(b) 行列式が0となるときは線分をあらわす。これはa=0またはb=0または\cos\gamma=\cos(\beta-\alpha)=0のときである。
このときは、(a,b)(-a,-b)を結ぶ線分となる。この線分上を時間Tで往復運動をする。