[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2006年(平成18年)東京大学前期-数学(理科)[1]

2021.02.02記

[解答]
(1) {\rm P}_n{\rm P}_{n-1}{\rm P}_{n+1} の中点を原点中心に \dfrac{4}{3} 倍拡大したものであるから,線分 {\rm OP}_2 と線分 {\rm P}_1{\rm P_3} は交わらなければならない.

{\rm P}_1\sim{\rm P_3}xy=1 上にあると仮定する.

(i) {\rm P}_1{\rm P_3} が一致する場合,{\rm P}_2{\rm P_1} を原点中心に \dfrac{4}{3} に拡大したものだから {\rm P}_2xy=1 上にない.

(ii) {\rm P}_1{\rm P_3} が異なる点で同じ枝にある場合, {\rm P}_1{\rm P_3} の間は線分 {\rm P}_1{\rm P_3} に関して原点と同じ側にあるので矛盾.

(iii) {\rm P}_1\Bigl(p,\dfrac{1}{p}\Bigr){\rm P_3}\Bigl(q,\dfrac{1}{q}\Bigr) が違う枝にある場合(pq\lt 0), {\rm P}_2\Bigl(\dfrac{2(p+q)}{3},\dfrac{2(p+q)}{3pq}\Bigr) は第2象限または第4象限にあることになり矛盾.

よって {\rm P}_1\sim{\rm P_3}xy=1 上にあることはない.

(2) {\rm OP}_1={\rm OP}_3 のとき,{\rm P}_2\angle {\rm P}_{1}{\rm OP}_{3} の角の二等分線上にあるので,
原点中心に回転して {\rm P}_1{\rm P}_2 をうつすための回転量と,原点中心に回転して {\rm P}_2{\rm P}_3 をうつすための回転量は等しい.この回転を表す線形変換の表現行列を R とすると,
R\vec{{\rm OP}_1}=\vec{{\rm OP}_2}R\vec{{\rm OP}_2}=\vec{{\rm OP}_3} である.

このとき,
\vec{{\rm OP}_4}=\dfrac{3}{2}\vec{{\rm OP}_3}-\vec{{\rm OP}_2}=\dfrac{3}{2}R\vec{{\rm OP}_2}-R\vec{{\rm OP}_1}=R\Bigl(\dfrac{3}{2}\vec{{\rm OP}_2}-\vec{{\rm OP}_1}\Bigr)=R\vec{{\rm OP}_3}
だから,{\rm P}_4{\rm P}_3 を原点中心に回転したものであるから,単位円周上にある.

注) 回転量の余弦\dfrac{3}{4} (時計回りと反時計回りが考えられる)である.

{\rm P}_1{\rm P_3} が違う枝にある場合に {\rm P}_2 は第2象限または第4象限にあることは,幾何的には {\rm P}_1 の原点に関する対称点を {\rm P}'_1 とすると {\rm OP}_2\parallel {\rm P}'_1{\rm P}_3 となることからわかる(双曲線上の同じ枝の異なる2点を通る直線の傾きは負になる)