[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1993年(平成5年)東京都立大学理系-[1]

2020.05.15記

[1] 実数 a,\,b,\,c1\geqq a\geqq b\geqq c\geqq\dfrac{1}{4} をみたすとする. x+y+z=0 なる実数 x,\,y,\,z, に対して ayz+bzx+cxy\leqq 0 が成り立つことを示せ.また,等号が成り立つのはどんな時か.

2020.05.15記
都立大はA日程。数学科は理系数学以外に数学科専用問題がある。

x+y+z=0 だから、xy,\,yz,\,zx のうち0以上のものが1つ、0以下のものが2つである。x,\,y,\, z を並べ換えたものを X,\,Y,\,Z として、0以上のものをYZ、 0以下のものを ZX\geqq XYとすることができる。

このとき、チェビシェフの不等式から  ayz+bzx+xy \leqq aYZ+bZX+cXY であり、 YZ\geqq 0\geqq ZX\geqq XYから
 aYZ+bZX+cXY \leqq YZ+\dfrac{1}{4}ZX+\dfrac{1}{4}XY = YZ+\dfrac{1}{4}X(Y+Z)=YZ-\dfrac{1}{4}(Y+Z)^2=-\dfrac{1}{4}(Y-Z)^2\leqq 0
となる。

後半の等号成立は、Y=Z, a=1, b=c=\dfrac{1}{4}または X=Y=Z=0 である。前半のチェビシェフの不等式を考慮すると、
x=X,y=z=Y=Z または x=y=z=X=Y=Z=0 となるので、求める等号成立条件は y=z,a=1, b=c=\dfrac{1}{4}または x=y=z=0 となる。