[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2020年(令和2年)九州大学後期数学[1]

[1]

座標平面上の曲線 C_1C_2 をそれぞれ C_1:y=ax^n(x\gt 0)C_2:y=\log x(x\gt 0) とする.ただし,n を2以上の整数,a
を実数とする.以下の問いに答えよ.

(1) x\gt 0 のとき, \log x\lt x が成り立つことを証明せよ.

(2) 曲線 C_1C_2 が異なる2点で交わるための a の条件を n を使って表せ.

(3) a が(2)で求めた条件を満たすとする.

曲線 C_1C_2 の異なる2つの交点 PQx 座標をそれぞれ pq とする.ただし p\lt q とする.このとき,p\lt \dfrac{q-p}{a(q^n-p^n)}\lt q が成り立つことを証明せよ.


2020.03.13記

[解答]

(1) 上に凸な関数y=\log xx=1における接線の方程式はy=x-1だから\log x\leqq x-1 < x が成立する.

注) y=\log xの原点を通る接線はy=\dfrac{1}{e}xだから、\log x\leqq \dfrac{1}{e}x < xと考えることもできる。

(2) (i) a \leqq 0 のとき、y=ax^nは単調非増加、y=\log xは単調増加であるから、交点は高々1つとなり不適。

(ii) a > 0のとき、下に凸な関数y=ax^nと上に凸な関数y=\log xが接するとき、\log x=ax^n\dfrac{1}{x}=anx^{n-1}\log x=ax^nからa=\dfrac{1}{ne}となる。よって0 <  a<\dfrac{1}{ne}が答。

注) 下に凸な関数y=ax^nと上に凸な関数y=\log xが接するとき、t=\log xとおくと ae^{nt}tが接する、つまり e^{t}y=\dfrac{t}{an}が接する。s=e^{t}の原点を通る接線はs=etだから、a=\dfrac{1}{ne}と考えることもができる。

(3)(見るからに平均値の定理

文字正、p,\,qは(2)の解だからap^n=\log p,\, aq^n=\log qとなるので、
\dfrac{1}{q}\lt \dfrac{\log q-\log p}{q-p}\lt \dfrac{1}{p}
を示せば良い。f(x)=\log xとおくと、平均値の定理により、  \dfrac{1}{r}=f'(r)=\dfrac{\log q-\log p}{q-p} p < r < q )なるrが存在する。

p\lt  r\lt q より\dfrac{1}{q}\lt \dfrac{1}{r}\lt \dfrac{1}{p}だから題意は示された。