[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1992年(平成4年)東京大学前期-数学(理科)[1]

2024.01.07記

[1] a1 より大きい定数とし,xy 平面上の点 (a,0)\mbox{A} ,点 (a,\log a)\mbox{B},曲線 y=\log xx 軸の交点を \mbox{C} とする.さらに x 軸,線分 \mbox{B}\mbox{A} および曲線 y=\log x で囲まれた部分の面積を S_1 とする.

(1) 1\leqq b\leqq a となる b に対し点 (b,\log b)\mbox{D} とする.四辺形 \mbox{ABCD} の面積が S_1 にもっとも近くなるような b の値と,そのときの四辺形 \mbox{ABCD} の面積 S_2 を求めよ.

(2) a\to\infty のときの \dfrac{S_2}{S_1}極限値を求めよ.

2024.01.07記
(1) 四辺形 \mbox{ABCD} の面積を S(b) とおくと
S(b)=\dfrac{1}{2}(b-1)\log b+\dfrac{1}{2}(a-b)(\log a+\log b)
だから,
2S'(b)=\log b+\dfrac{b-1}{b}-(\log a+\log b)+\dfrac{1}{b}(a-b)=\dfrac{a-1}{b}-\log a
となる.よって S'(b)b\geqq 1 で単調減少であり b=\dfrac{a-1}{\log a}0 となるが,
\log xx=1 での接線を考えると
\log a\lt a-1\log \dfrac{1}{a}\lt \dfrac{1}{a}-1 だから,
S'(1)=a-1-\log a\gt 0S'(a)=1-\dfrac{1}{a}-\log a\lt 0
となるので,1\lt \dfrac{a-1}{\log a}\lt a を満たしているので,S(b)b=\dfrac{a-1}{\log a} のときに最大となる.

として S\left(\dfrac{a-1}{\log a}\right) を計算しても良い.

[解答]
(1) y=\log x は上に凸であることに注意すると,
\mbox{D} におけるy=\log x の接線の傾きが直線 \mbox{AB} の傾きに等しいときに四辺形 \mbox{ABCD} の面積が最大となる.

よって,\dfrac{1}{b}=\dfrac{\log a}{a-1} のときに四辺形 \mbox{ABCD} の面積が最大となる.

このとき, \mbox{D} におけるy=\log x の接線の方程式は
y=\dfrac{1}{b}(x-b)+\log b=\dfrac{x}{b}+\log b-1
であるから,x=a のときの y 座標は
\dfrac{a}{b}+\log b-1=\dfrac{a\log a}{a-1}+\log(a-1)-\log\log a -1 となる.ここで\mbox{E}\left(a,\dfrac{a\log a}{a-1}+\log(a-1)-\log\log a -1\right) とおくと
S_2=\triangle\mbox{CAE}
=\dfrac{1}{2}(a-1)\left(\dfrac{a\log a}{a-1}+\log(a-1)-\log\log a -1\right)
となる.

(2) S_1=\displaystyle\int_1^a \log x dx=a\log a-a +1である.

\triangle\mbox{CAB}=S_3 とおくと
\displaystyle\lim_{a\to+\infty}\dfrac{S_1}{S_3}=\displaystyle\lim_{a\to+\infty}\dfrac{a\log a -1}{(a-1)\log a/2}=2 \displaystyle\lim_{a\to+\infty}\left(\dfrac{a}{a-1}-\dfrac{1}{(a-1)\log a}\right)=2
であり,
\displaystyle\lim_{a\to+\infty}\dfrac{S_2}{S_3}=\displaystyle\lim_{a\to+\infty}\dfrac{\dfrac{a\log a}{a-1}+\log(a-1)-\log\log a -1}{\log a}
=\displaystyle\lim_{a\to+\infty}
\left(\dfrac{a}{a-1}+\dfrac{\log a+\log(1-1/a)}{\log a}+\dfrac{\log(\log a)}{\log a}-\dfrac{1}{\log a}\right)
=1+1+0-0=2
であるから,
\displaystyle\lim_{a\to+\infty}\dfrac{S_2}{S_1}\displaystyle\lim_{a\to+\infty}\dfrac{S_2/S_3}{S_1/S_3}=\dfrac{2}{2}=1
となる.

\displaystyle\lim_{x\to+\infty}\dfrac{\log x}{x}=0 は明らかとしたが,証明するには

e^tt=0 での接線を考えると t\gt 0e^t\gt t+1\gt 0 だから 2t=t' とおくと
e^{t'}=(e^t)^2\gt (t+1)^2 \gt t^2=\dfrac{(t')^2}{4}
となるので,t'\gt 0 のとき
0\lt \dfrac{t'}{e^{t'}}\lt \dfrac{4}{t'}
が成立するので,はさみうちの原理により
\displaystyle\lim_{t' \to+\infty}\dfrac{t'}{e^{t'}}=0
となる.ここで t'=\log x を置き換えれば
\displaystyle\lim_{x\to+\infty}\dfrac{\log x}{x}=0
であることがわかる.