[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2010年(平成12年)大阪大学-数学(理系)[3]

2022.04.23記

[3] l,m,n を3以上の整数とする。等式 \left(\dfrac{n}{m}-\dfrac{n}{2}+1\right) l=2 を満たす l,m,n の組をすべて求めよ.

本問のテーマ
正多面体は5つ(2022.04.23)

2022.04.23記

正多面体は5つ

正多面体が5つに限ることは中学生のときに習うだろう.私が最初に知った証明は次のようなものである.

立体になるためには頂点に3枚以上の面が必要であるから,1頂点には「正3角形が3,4,5枚」,「正4角形が3枚」,「正5角形が3枚」の5通りしかありえず,その5通りでそれぞれ正多面体を構成することができるので,正多面体は5つに限る

というものである.これら正多面体に対して,辺,面,頂点の数も同時に求めるための方程式を作ってみよう.

n 角形 l 個からなる正多面体の各頂点に集まる正 n 角形の個数を m とします.また,正多面体の頂点,辺,面の数をそれぞれ VEF とすると,F=l が成立する.

次に1つの辺が2つの面の境界であることから,正 n 角形 l 個の延べの辺の数 nl を2 で割ったものが E となる,つまり E =\dfrac{nl}{2} が成立する.

そして1 つの頂点に m 個の正 n 角形が集まることから,正 n 角形 l 個の延べの頂点の数 nlmで割ったものが V となる,つまり V =\dfrac{nl}{m} が成立する.

よってオイラー多面体定理から,
V-E+F=\dfrac{nl}{m}-\dfrac{nl}{2}+l=2
が成立する.これが問題文の等式である.

[大人の解答]
この等式は,正 n 角形 l 個からなる正多面体の各頂点に集まる正 n 角形の個数を m としたときの正多面体がみたすオイラー多面体の公式であるから,
(m,n)=(3,3),(3,4),(3,5),(4,3),(5,3)
であり,等式から l を求めることにより
(l,m,n)=(4,3,3),(6,3,4),(12,3,5),(8,4,3),(20,5,3)
となる.

まぁ、普通は

[解答]
等式の左辺が正であることから \dfrac{n}{m}-\dfrac{n}{2}+1\gt 0 となるので,
(m-2)(n-2)\lt 4
が成立し,m,n\geqq 3 から
(m,n)=(3,3),(3,4),(3,5),(4,3),(5,3)
が必要である.等式から l を求めることにより
(l,m,n)=(4,3,3),(6,3,4),(12,3,5),(8,4,3),(20,5,3)
となる.
とするだけなので,答案としては大して有利になったようには見えないが,答が始めからわかっていて解くのと知らなくて解くのでは,やはり答を知っていて解く方が精神的には安心できる.