[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)九州大学後期-数学[1]

2024.12.09記

[1] xyz 空間内の点 \rm A,B,C,D の座標をそれぞれ (2,1,0)(9,0,0)(6,9,0)(5,8,2\sqrt{2}) とする.以下の問いに答えよ.

(1) 点 \rm A,B,C を通る円の半径を求めよ.

(2) (1) で求めた円の周上を移動する点を \rm E とする.三角形 \rm ABE の面積が 25 となるときの点 \rm E の座標を求めよ.ただし,点 \rm Ex 座標は y 座標より大きいとする.

(3) 点 \rm A,B,D および(2)で求めた点 \rm E を通る球面上を移動する点を \rm P とする.ただし点 \rm Pz 座標は正とする.四面体 \rm ABEP の体積が最大となるときの体積 V を求めよ.また,四面体 \rm ABEP の体積が \dfrac{3}{5}V を保つように点 \rm P が移動したときの,点 \rm P が描く図形の方程式を求めよ.

2024.10.04記
図を綺麗に書くことがここまで効く問題はそうそうありません.xy 平面に \mbox{A}(2,1)\mbox{B}(9,0)\mbox{C}(6,9) を丁寧に図示してみると

\rm AC の垂直2等分線上に格子点が (4,5)(6,4)(8,3),… と並びますが,(6,4) にどれだけ中心が近いかと計算してみると,ドンピシャで,中心が (6,4)3:4:5 の直角三角形によって作られた構図であることが見えてきます.

(2) 半径5(直径10)の円に内接する三角形の面積が 25 になるというのはとても恣意的で,円の直径を斜辺とする直角二等辺三角形の面積が 25 であるという構図が見えてきます.

[出題者を見透かした解答]
(1) xy 平面で考える.

\mbox{A}(2,1)=(6-4,4-3)\mbox{B}(9,0)=(6+3,4-4)\mbox{C}(6,9)=(6,4+5)
であるから,この3点は中心 (6,4),半径 5 の円周上にあるので,求める半径は 5 である.

(2) xy 平面で考える.

円の中心を \mbox{G}(6,4) とし,点 \rm A を通る直径の \rm A とは異なる端点を \mbox{F}(10,7) とする.
\angle\mbox{AGB}=\dfrac{\pi}{2} に注意すると
\triangle\mbox{ABF}=\dfrac{1}{2}\cdot 10\cdot 5= 25=\triangle\mbox{ABE}
であるから,点 \rm E と直線 \rm AB との距離は点 \rm F と直線 \rm AB との距離 5\sqrt{2}\triangle\mbox{ABF} は斜辺が10の直角二等辺三角形)に等しい.

この距離 5\sqrt{2} は円の半径 5 よりも大きいことから,このような \rm E は直線 \rm AB に関して \rm F と反対側には存在せず,よって同じ側に存在することになり,\rm EF\parallel AB となる.このとき \mbox{E}(10,7)\mbox{F}に一致),または \mbox{E} は点 \rm B を通る直径の \rm B とは異なる端点を (3,8) のいずれかであり,条件を満たすのは \mbox{E}(10,7) である.

(3) 四面体 \rm ABEP の体積は \dfrac{1}{3}\times\triangle\mbox{ABE}\times(\mbox{P}からxy平面に下した垂線の長さ) である.

\rm A,B,E を通る球面の方程式は(1) より
(x-6)^2+(y-4)^2+(z-t)^2=25+t^2
と書け,これが \rm D を通るので 17+8-4\sqrt{2}t=25+t^2 から t=0 となる.

よって球面上の点から xy 平面へ下した垂線の長さが最大となる点 \rm P はその z 座標が正であるから
\mbox{P}(6,4,5) であり,このときの四面体 \rm ABEP の体積は
V=\dfrac{1}{3}\times 25\times 5 =\dfrac{125}{3} である.

また,四面体 \rm ABEP の体積が \dfrac{3}{5}V となるのは \rm Pz 座標が 3 となれば良いので
(x-6)^2+(y-4)^2+3^2=25
つまり
(x-6)^2+(y-4)^2+3^2=16 かつ z=3(円周)
となる.

普通は円のパラメータ表示を利用して \rm E を表現して次のように解くだろう.

[別解]
(1) xy 平面で考える.

円の中心を (a,b) とすると
(a-2)^2+(b-1)^2=(a-9)^2+b^2=(a-6)^2+(b-9)^2
が成立する.よって
(a-2)^2-(a-9)^2=b^2-(b-1)^2(a-6)^2-(a-9)^2=b^2-(b-9)^2
つまり
(2a-11)\cdot 7 =(2b-1)\cdot 1(2a-15)\cdot 3 =(2b-9)\cdot 9
が成立する.整理して
7a-38=ba+6=3b
となり,a=6b=4 となる.よって円の半径は \sqrt{(9-6)^2+(0-4)^2}=5 となる.

(2) xy 平面で考える.

\mbox{E}(6+5\cos\theta,4+5\sin\theta) とおく.
\overrightarrow{\mbox{AB}}=(7,-1)
\overrightarrow{\mbox{AE}}=(4+5\cos\theta,3+5\sin\theta)\cos\theta\gt\sin\theta
から
2\triangle\mbox{ABE}=|25+5\cos\theta+35\sin\theta|=50
が成立するので \cos\theta+7\sin\theta=5,-15 となるが,\cos\theta+7\sin\theta=-15 にはなれないので
\cos\theta+7\sin\theta=5
となる.これを \cos^2\theta+\sin^2\theta=1 に代入すると
50\sin^2\theta-70\sin\theta+24=2(5\sin\theta-3)(5\sin\theta-4)=0
から \sin\theta=\dfrac{3}{5},\dfrac{4}{5} となり
(\cos\theta,\sin\theta)=\left(\dfrac{4}{5},\dfrac{3}{5}\right),\left(-\dfrac{3}{5},\dfrac{4}{5}\right)
となる.

\cos\theta\gt\sin\theta により (\cos\theta,\sin\theta)=\left(\dfrac{4}{5},\dfrac{3}{5}\right)であるから \mbox{E}(10,7) である.



基本的に同じ考え方だが次のように考えることもできる.

[別解]
(2) xy 平面で考える.

直線 \rm AB の方程式は x+7y=9\mbox{AB}=5\sqrt{2} である.\triangle\mbox{ABE}=25 であるから \mbox{E}(p,q) と直線 \rm AB との距離も 5\sqrt{2} となり,
\dfrac{|p+7q-9|}{5\sqrt{2}}=5\sqrt{2}
つまり p+7q=-41,59 となり,(p-6)+7(q-4)=-75,25 となるが,円の x+7y=9 に平行な接線は (x-6)+7(y-4)=\pm 5\sqrt{2}(≒\pm 70.7\cdots) であることから,
(p-6)+7(q-4)=-75 は不適で (p-6)+7(q-4)=25 となる.

このとき (p-6)^2+(q-4)^2=25 とから
50(q-4)^2-7\cdot 50(q-4)+25^2=25
つまり
(q-4)^2-7(q-4)+12=(q-4-3)(q-4-4)=0
となるので q=7,8 であり,
(p,q)=(10,7),(3,8)
となる.ここで p\gt q であるから \mbox{E}(10,7) である.