[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1922年(大正11年)東京帝國大學理學部物理科-數學[2]

[2] 半徑 r ナル圓ヨリ扇形ヲ截リ取リ殘餘ヲ以テ成ルベク大ナル體積ヲ有スル直圓錐ヲ作ラントス,截リ取ルベキ角ノ大サ及ビ直圓錐ノ高サヲ索メヨ.

2022.08.09記

[解答]
切りとられた後の扇型の中心角を 2\pi\alpha0\lt\alpha\lt 1)とおくと,直円錐の底面の半径は \alpha r,高さは \sqrt{1-\alpha^2}\, r であるから,その体積は
V=\dfrac{1}{3}\pi (\alpha r)^2 \sqrt{1-\alpha^2}\, r=\dfrac{\pi r^3}{3}(\alpha^2\sqrt{1-\alpha^2})
となる.

ここで AM-GM 不等式により
\left(\dfrac{\alpha^2}{2}\right)^2(1-\alpha^2)\leqq \left(\dfrac{\dfrac{\alpha^2}{2}+\dfrac{\alpha^2}{2}+(1-\alpha^2)}{3}\right)^3=\dfrac{1}{3^3}
であるから,
V\leqq\dfrac{\pi r^3}{3}\cdot \sqrt{\dfrac{2^2}{3^3}}=\dfrac{2\sqrt{3}}{27}\pi r^3
となり,直円錐の体積が最大となるときの \alpha\sqrt{\dfrac{2}{3}} であるから,
切り取るべき角の大きさは 2\pi\left(1-\sqrt{\dfrac{2}{3}}\right) であり,そのときの直円錐の高さは \dfrac{1}{\sqrt{3}} となる.