[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1925年(大正14年)東京帝國大學工學部-數學[3]

2022.08.11記

[3] 次ノ式ガ表ハス曲線ヲ畫ケ.
 y^3=(x-1)(x-2)^2


2022.08.15記
 Y=(x-1)(x-2)^2 のグラフを縦に3乗根をとることによっておおまかな形をとらえることができる(極値を与える x の値は等しい)が,その際 |x| が十分大きいときに
y^3\approx x^3 が成立することから,y=x+K の形の漸近線をもつことに注意する.また,x=2 で二重解を三乗根をとることになるので,x=2 近辺では x-1\approx 1 より y\approx (x-2)^{2/3} だから,(2,0) が尖点となることに注意する.

と,注意点が多いので普通に微分した方が細かいことを気にしなくて良い.

[解答]
 y=\{(x-1)(x-2)^2\}^{1/3}
微分すると
 y'=\dfrac{1}{3}\{(x-1)(x-2)^2\}^{-2/3}\cdot \{(x-1)(x-2)^2\}' =\dfrac{3x-4}{3}\{(x-1)^2(x-2)\}^{-1/3}
y''=\{(x-1)^2(x-2)\}^{-1/3}-\dfrac{3x-4}{9}\{(x-1)^2(x-2)\}^{-4/3}\cdot (3x-5)(x-1)
=\dfrac{9(x-1)(x-2)-(3x-4)(3x-5)}{9}\{(x-1)^{-5}(x-2)^{-4}\}^{1/3}
=\dfrac{-2}{9}\{(x-1)^{-5}(x-2)^{-4}\}^{1/3}
となるので
\displaystyle\lim_{x\to\pm\infty} y'=1 に注意すると
増減表は

x -\infty  \cdots 1  \cdots \dfrac{4}{3}  \cdots 2  \cdots +\infty
y' 1  + + + 0 - -\infty+\infty  + 1
y -\infty \nearrow 0  \nearrow \dfrac{\sqrt[3]{4}}{3}  \searrow 0  \nearrow +\infty

となる.ここで漸近線の方程式は
 y=\sqrt[3]{(x-1)(x-2)^2}\approx x\sqrt[3]{1-5x^{-1}}\approx x\left(1-\dfrac{5}{3}x^{-1}\right)=x-\dfrac{5}{3}
から y=x-\dfrac{5}{3} であることに注意すると,グラフは次図

■ 接線を求めるときは,0次と1次の係数をあわせることになるが,漸近線を求めるときは最高次とその次をあわせれば良いと考えれば
(x-1)(x-2)^2=(ax+b)^3x^3,x^2 の係数を比較することによって
a=1,b=-\dfrac{5}{3} を導くことができる.

高校生のとき,x=\pm\infty で重解をもつ条件,つまり t=\dfrac{1}{x} とおいたときの1次近似をもとにもどしたものが漸近線になる,と習ったものだ.