[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1932年(昭和7年)東京帝國大學工學部-數學[3]

2022.08.08記

[3]次の曲線上の原點より最も遠い點及び最も近い點に於ける曲率半徑を求む.
x=a\cos nt+b\sin mty=a\sin nt+b\cos mt

2022.08.08記

[解答]
x^2+y^2=a^2+b^2+2ab\sin(m+n)tである.

(i) a=0b\neq 0とする)の場合,原点中心半径 b の円となるので,原点から最も遠い点,近い点は円周上の全ての点であり,曲率半径は b

(ii) b=0a\neq 0とする)の場合,原点中心半径 a の円となるので,原点から最も遠い点,近い点は円周上の全ての点であり,曲率半径は a

(iii) ab\gt 0 の場合,\sin(m+n)t=1 のときに原点から最も遠い点,\sin(m+n)t=-1 のときに原点から最も近い点となる.曲率半径 R
R=\dfrac{(\dot{x}^2+\dot{y}^2)^{3/2}}{|\dot{x}\ddot{y}-\ddot{x}\dot{y}|}
=\dfrac{(a^2n^2+b^2m^2\mp 2abmn)^{3/2}}{|a^2n^3-b^2m^3\pm abmn(m-n)|}
=\dfrac{|an\mp bm|^3}{|(an^2\pm bm^2)(an\mp bm)|}
=\dfrac{|an\mp bm|^2}{|an^2\pm bm^2|}
より,最も遠い点における曲率半径は \dfrac{|an-bm|^2}{|an^2+bm^2|} であり,最も近い点における曲率半径は \dfrac{|an+bm|^2}{|an^2-bm^2|} である.

(iv) ab\lt 0 の場合,\sin(m+n)t=-1 のときに原点から最も遠い点,\sin(m+n)t=1 のときに原点から最も近い点となるので,最も遠い点における曲率半径は \dfrac{|an+bm|^2}{|an^2-bm^2|} であり,最も近い点における曲率半径は \dfrac{|an-bm|^2}{|an^2+bm^2|} である.