[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2017年(平成29年)東京大学-数学(理科)[3]

本問のテーマ
反転(と複素共役

2021.01.26記

[大人の解答]
(1) L を原点について反転させて複素共役をとったものだから,0,\dfrac{2}{\alpha} を直径とする円から原点を除いたもの.よって中心は \dfrac{1}{\alpha} で半径は \dfrac{1}{|\alpha|}

(2) \beta,\beta^2 を結ぶ線分は,実部が -\dfrac{1}{2} となる直線のうち単位円の周または内部にある部分である.(1) よりこの線分の反転による像は 0,-2 を直径とする円のうち単位円の周または外部にある部分である.

これは 0,-2 を直径とする円の実部が -\dfrac{1}{2} 以下の部分.

[解答]
L 上の点を z とすると \mbox{Re}\Bigl(\dfrac{z}{\alpha}\Bigr)=\dfrac{1}{2} だから,

\mbox{Re}\Bigl(\dfrac{1}{\alpha w}\Bigr)=\dfrac{1}{2},つまり \mbox{Re}\Bigl(\dfrac{\overline{w}}{\alpha}\Bigr)=\dfrac{1}{2}|w|^2 となる.

よって,2\dfrac{\alpha w + \overline{\alpha}\,\overline{w}}{|\alpha|^2}=|w|^2 となり,\Bigl| w-\dfrac{1}{\alpha} \Bigr|^2=\dfrac{1}{|\alpha|} となるので,中心 \dfrac{1}{\alpha},半径 \dfrac{1}{|\alpha|} の円から原点を除いたもの.

(2) \beta,\beta^2 を結ぶ線分は,実部が -\dfrac{1}{2} となる直線だから (1) で \alpha=-1 とおいたものとなり,線分の像は -1 中心で半径が 1 の円上にある.線分上の点は直線上で |z|\leqq 1 をみたす部分なので,円周上で |w|=\dfrac{1}{|z|}\geqq 1 をみたす部分が求める軌跡である.

軌跡の限界については,線分上の z について \dfrac{2\pi}{3}\leqq \arg (z)\leqq\dfrac{4\pi}{3} をみたす部分であり,\arg (w)=-\arg (z) から -\dfrac{2\pi}{3}\leqq \arg (w)-\leqq\dfrac{4\pi}{3} をみたす部分となる,としても良い.