[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1982年(昭和57年)東京大学-数学(理科)[4]

2023.08.23記

[4] xy 平面上の曲線 y=\sin x に沿って,図のように左から右へすすむ動点 \mbox{P} がある.\mbox{P} の速さが一定 VV\gt 0)であるとき,\mbox{P} の加速度ベクトル \vec{\alpha} の大きさの最大値を求めよ.ただし,\mbox{P} の速さとは \mbox{P} の速度ベクトル\vec{v}=(v_1,v_2) の大きさであり,また t を時間として \vec{\alpha}=\left(\dfrac{dv_1}{dt},\dfrac{dv_2}{dt}\right)である.

本問のテーマ
曲率

2020.11.26記

曲率

速度が一定のときに加速度が最大となるのはハンドルを一番急にきったとき,つまり曲率半径が一番小さいときだから,サインカーブの場合極大点、極小点で最大となる.

[解答]
{\rm P}(x,\sin x) とおくと \vec{v}=(1,\cos x)\dfrac{dx}{dt}\vec{\alpha}=(0,-\sin x)\Bigl(\dfrac{dx}{dt}\Bigr)^2+(1,\cos x)\dfrac{d^2 x}{dt^2} となるので,V^2=(1+\cos^2 x)\Bigl(\dfrac{dx}{dt}\Bigr)^2 となり \dfrac{dx}{dt}=\dfrac{V}{\sqrt{1+\cos^2 x}} が成立する.

これを微分して \dfrac{d^2x}{dt^2}=\dfrac{V\cos x\sin x}{\sqrt{1+\cos^2 x}^3} が成立する.

これらを用いると
 |\vec{\alpha}|^2=\dfrac{V^4\sin^2 x}{(1+\cos^2 x)^3}
となり,これは \cos^2 x が小さい程大きくなるので \cos^2 x=0 のときに |\vec{\alpha}| は最大値 V^2をとる.