[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1937年(昭和12年)東京帝國大學理學部-數學[1]

2022.08.11記

[1] \varphi(x)=ax^2+bx+cナルトキ,方程式
\varphi(x)+\lambda(x-\alpha)=0
\lambdaノスベテノ實數値ニ對シテ實根ヲ有スルタメニ必要且十分ナル條件ハ\varphi(x)=0ガ實根ヲ有シ\alphaガソノ間ニアルコトナリ,之ヲ證明セヨ.但シabc及ビ\alphaハ実数トス.

2022.08.23記
a=0 の場合は別に考える必要があるが,グラフを描けばほぼ明らかである.ここでは計算主体で示しておく.

[解答]
(i) a=0 のとき:
bx+c+\lambda(x-\alpha)=0
が任意の \lambda に対して実数解をもつ条件は \lambda=-b の場合を考えて c=-\lambda\alpha であることが必要で,このとき (b+\lambda)(x-\alpha)=0 となるので「\varphi(x)=0が実数解をもち\alphaがその間にある」ことを満たす.

(ii) a\neq 0 のとき:
\varphi(x)+\lambda(x-\alpha)=ax^2+(b+\lambda)x+c-\lambda\alpha=0
が任意の \lambda に対して実数解をもつ条件はを求めれば良い.\lambda=0 の場合を考えて2次方程式 \varphi(x)=0 が実数解をもつので \varphi(x)=a(x-p)(x-q)p,q は実数で p\leqq qとする)と因数分解できる.
このとき,
\varphi(x)+\lambda(x-\alpha)=ax^2+(b+\lambda)x+c-\lambda\alpha=0
b=-a(p+q),c=apq
の判別式が任意の\lambda に対して正または0であれば良い.

よって
(b+\lambda)^2-4a(c-\lambda\alpha)
=\lambda^2+2(2a\alpha+b)\lambda + b^2-4ac
=(\lambda^2+2a\alpha+b)^2-(2a\alpha+b)^2 + b^2-4ac
=-4a(a\alpha^2+\beta\alpha+c)\geqq 0
から求める必要十分条件
a(a\alpha^2+b\alpha+c)=a^2(\alpha-p)(\alpha-q)\leqq 0
であり,a\neq 0 より
(\alpha-p)(\alpha-q)\leqq 0
となり,p\leqq \alpha\leqq q となるので,「\varphi(x)=0が実数解をもち\alphaがその間にある」ことを満たす.