[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1939年(昭和14年)東京帝國大學醫學部醫學科-數學[2]

2022.07.24記

[2] 定圓ニ内接スル二等邊三角形ニシテ其周ノ最大ナルモノヲ求ム.

2022.08.07記
答が正三角形の場合というのは,想像がつくだろう.

[解答]
円を単位円として良く,2等辺三角形の頂角を 2\theta0\lt\theta\lt\dfrac{\pi}{2}) とおくと,2等辺三角形の3辺の長さは 2\cos\theta,2\cos\theta,4\cos\theta\sin\theta であるから,その周の長さは
f(\theta)=4\cos\theta(1+\sin\theta)
となる.
f'(\theta)=-8(\sin\theta+1)\left(\sin\theta-\dfrac{1}{2}\right)
により,0\lt\theta\lt\dfrac{\pi}{2} では,
\theta=\dfrac{\pi}{6} で極大かつ最大となる.

このとき,2等辺三角形の頂角は \dfrac{\pi}{3} となるので,求める三角形は正三角形である.

[別解]
内接する三角形の3辺の長さを x,x,2y とし,その面積を S とすると,
 S=\dfrac{x^2\cdot 2y}{4\cdot 1}=\dfrac{x^2y}{2}
かつ
 S=y\sqrt{x^2-y^2}
であるから
 4y^2=4x^2-x^4
が成立する.このとき x+y の最大値を求めれば良い.
x+y=x+\dfrac{1}{2}\sqrt{4x^2-x^4}=:f(x)0\lt x\lt 2
であるから,
f'(x)=1+\dfrac{x(2-x^2)}{\sqrt{4x^2-x^4}}
となり,0\lt x\lt 2f'(x)=0 となるのは x=\sqrt{3} のみで, f'(x) は,この前後で符号が正から負に変化するので極大かつ最大となる.

このとき 2y=\sqrt{3} となるので,求める三角形は正三角形である.

 4y^2=4x^2-x^4 のもとでの x+y の最大値は,ラグランジュの未定乗数法を用いると
x+y+\lambda(4y^2-4x^2+x^4)
から
1+\lambda(-8x+4x^3)=01+\lambda(8y)=0
を得て \lambda を消去すると 2y=x^3-2x となり,
 4y^2=4x^2-x^4 
から
 (x^3-2x)^2=4x^2-x^40\lt x\lt 2) 
を解いて x=\sqrt{3} を得る.