[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1943年(昭和18年)東京帝國大學工學部-數學[2]

[2] tガ實數ナルトキa+2ht+bt^2ガ負ナラザル爲ニハx=\dfrac{a+2ht+bt^2}{1+t^2}ノ極大値ト,極小値トノ積ガ負ナラザルコトヲ要スルコトヲ證明セヨ。但シa,b,hハ實數ニシテh\neq 0, b \gt 0トスル。

2020.03.31記

任意の実数 t について a+2ht+bt^2 が非負である条件は、
2次方程式 a+2ht+bt^2=0 の判別式を D=4(h^2-ab) とおくと、b\gt 0 により、 D\leqq 0 である。

 \dfrac{f(t)}{g(t)}微分可能な極値となる必要条件は f'(t)g(t)-f(t)g'(t)=0だから、極値となる点において \dfrac{f(t)}{g(t)}=\dfrac{f'(t)}{g'(t)} が成立する。

x の極大、極小が  t=p,\,qでとるとき、p,\,q (2h+2bt)(1+t^2)-(a+2ht+bt^2)\cdot 2t=0、つまり  h+(b-a)t-ht^2=0 の2解であるから、 p+q=\dfrac{b-a}{h},\,pq=-1 が成立する。

極大値と極小値の積は
 \dfrac{h+bp}{p}\cdot\dfrac{h+bq}{q}=\dfrac{h^2+hb(p+q)+b^2pq}{pq}=\dfrac{h^2+b(b-a)-b^2}{-1}=ab-h^2=-\dfrac{D}{4}
であるから、 D\leqq 0 なる必要十分条件は極大値と極小値の積が非負であることである。