[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1992年(平成4年)東京大学前期-数学(文科)[1]

2024.01.07記

[1] x についての方程式 px^2+(p^2-q)x-(2p-q-1)=0 が解をもち,すべての解の実部が負となるような実数の組 (p,q) の範囲を pq 平面上に図示せよ.

(注) 複素数 a+biab は実数,i虚数単位)に対し,a をこの複素数の実部という.

2020.09.26記

[解答]
まず実数係数の2次方程式 x^2+ax+b=0 の2解の実部がともに負となるような条件を考える.

(a) 2解が実数のとき,和が負,積が正,判別式が非負
(b) 2解が虚数のとき,和が負,積は(共役複素数の積だから)正,判別式が負

であるから,必要十分条件 a\gt0,b\gt 0 である.

(i) p=0 のとき,1次方程式  qx=q+1 の解について考える.
q=0 のとき解なしで,q\neq 0 のときは x=\dfrac{q+1}{q}\lt 0 だから
-1\lt q\lt 0

(ii) p\neq 0 のとき,2次方程式  x^2+\Bigl(p-\dfrac{q}{p}\Bigr)x-\Bigl(2-\dfrac{q}{p}-\dfrac{1}{p}\Bigr)=0 の解について考えると,
p-\dfrac{q}{p}\gt0 かつ 2-\dfrac{q}{p}-\dfrac{1}{p}\lt 0 が (ii) の必要十分条件

両辺にp^2\neq 0 を掛けて整理すると
p(q-p^2)\lt 0 かつ p(q-2p+1)\gt 0 が (ii) の必要十分条件

ここで q=p^2 上の点(1,1) における接線が q=2p-1 であることに注意すると
p^2 \gt 2p-1 が成立するので,q-p^2 \lt q-2p+1 となる.

よって  p\gt 0 かつ 2p-1\lt q\lt p^2 が (ii) の必要十分条件

(i)(ii) より求める必要十分条件
 p\geqq 0 かつ 2p-1 \lt q\lt p^2
となる.